ディープラーニングの仕組みが数式なしに理解できる一冊。ディープラーニングの現状や今後の応用領域など基本的なことを図解によってわかりやすく学ぶことができます。
■ニューラルネットワークの仕組み
機械学習もディープラーニングも目指すところは「モデルの予測値と実際の値との誤差をなくす」ことである。具体的には、各層における重みを、関数で調整して誤差関数を微分した値が0になるようにすればいい。
ニューラルネットワークで解こうとする問題は、そもそも入力値が多次元にわたるので、正解を求める(誤差関数を微分した値を0にする)のが困難な場合がほとんどである。最終的には、解を求めるのではなく最適解を探索する方法がとられる。最適解を探索する方法を「勾配降下法」という。勾配(微分値)に沿って降りながら解(傾きが0になる地点)を探す。
勾配降下法には、勾配が0となる点が複数ある時、最適解が見抜けない問題がある。これを防ぐ方法として、探索する勾配の範囲を広げる(学習値の値を大きく設定する)方法がある。但し、最適解を通り過ぎて、さらに探索を続けてしまう問題は起こり得る。
■ディープラーニングとは
人工知能のプログラム自身が学習する「機械学習」の研究の中から生まれたのが、人間の脳を模した仕組みのニューラルネットワークである。ニューラルネットワークは、はじめは入力層と出力層だけの単純な構造(単純パーセプトロン)だった。続いて入力層と出力層の間に隠れ層を設ける3層パーセプトロンが考え出された。さらに複雑な問題を解くために、ニューラルネットワークを多層化したディープラーニングが考え出された。
機械学習の性能は「データの中から注目すべき特徴をどう選ぶか」によって決まる。この注目すべきデータの特徴を「特徴量」という。特徴量は人間が選ぶが、それを機会自身が選ぶようにしたのがディープラーニングである。
著者 南野 充則
FiNC Technologies 代表取締役CTO 大学在学中にヘルスケアスタートアップ、MEDICAおよびCDSystemを創業。東京大学在籍中に、北京大学で開催されたスマートグリッド分野における国際学会で世界一の座を争い、「BEST STUDENT AWARD」を受賞する。 2016年に、国内初となるウェルネス・ヘルスケア領域に特化した人工知能研究所「FiNC Wellness AI Lab」を設立。 2017年、ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目指す団体、「日本ディープラーニング協会」最年少理事に就任。 2018年にFiNC Technologies 代表取締役CTOに就任し、現在に至る。
帯 東京大学大学院工学系研究科教授 松尾 豊 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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PART1 ディープラーニングとは | p.11 | 15分 | |
PART2 実用化されるディープラーニング | p.65 | 19分 | |
PART3 ディープラーニングがもたらす未来 | p.135 | 6分 |