ロボット研究者が、これまでのロボットの歴史を振り返りながら、これからの未来を創造する一冊。
■ロボット≠人工知能
ロボットと人工知能は、よく混同される。大まかに言えば、ロボットは動く機械装置である。実体があって、移動したり、形を変えたりできる。一方で、人工知能は、人間の脳の働きを真似た、目に見えない情報処理の一種である。人工知能はコンピュータに宿り、ロボット以外にも、スマホや家電に搭載されることもある。
遠い未来、人間が丸ごとデジタル化されてインターネットに溶け込むのなら、ロボットはいらなくなるかもしれない。でも、人間が物理的な身体を手放すのは、数百年か千年か、かなり先になるだろう。それまでの物理的な作用を手助けできるのがロボットである。
ロボットはその起源から汎用性がキーワードである。汎用性は従来の道具にはないものだった。そして、汎用性の実現にはコンピュータによる制御が必要だった。計算機のプログラムを変えれば、ロボットを変えないでもロボットの動きを変えられる。プログラマブルであることが、ロボットの汎用性を支えている。
一方で、ロボットのプログラムを書いているのは人間だし、プログラムを入れ替えなければロボットは別の仕事をこなせない。人間がロボットに勝てるところは、とにかく多芸であること。
ロボットは数えられたことしかできないおで、一芸に秀でている。それはロボットの融通の利かなさでもある。ロボットが単能というのは現状の話で、これを広げていくことが課題の1つになっている。違うタスクを解決するには、ゼロから学習、別の人工知能を用意することが通常である。これからは「単能」人工知能は「多能」人工知能へと発展するだろう。
著者 新山 龍馬
1981年生まれ。東京大学大学院情報理工学系研究科 講師 ロボット研究者。マサチューセッツ工科大学(MIT)研究員(コンピュータ科学・人工知能研究所、メディアラボ、機械工学科)を経て、2014年より現職。専門は生物規範型ロボットおよびソフトロボティクス。
帯 東京大学大学院 教授 松尾 豊 |
週刊東洋経済 2019年6/15号 [雑誌](50歳からのお金の教科書) |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに | p.1 | 2分 | |
序 章 未来のロボット | p.13 | 5分 | |
第一章 ロボットに乗る | p.23 | 17分 | |
第二章 ロボットと働く | p.57 | 22分 | |
第三章 ロボットと遊ぶ | p.101 | 20分 | |
第四章 ロボットから学ぶ | p.141 | 12分 |