生産者と消費者を直接つなぐ経済圏
法定通貨においては、様々な利害関係が生じざるを得ない。その1つが、中間業者の存在である。法定通貨による経済圏では、大抵生産者と消費者の間に中間業者が入り、そうした業者に一定額のお金が流れていく。それに対して、トークンを用いた独自の経済圏での活動の場合、純粋にそのトークンに価値を見出す関係者しか参加しない。トークンを用いることで、法定通貨では難しい、生産者と消費者を直接つなぐことが可能になる。
トークンエコノミーでは、そのトークンが配布される特定のモノやサービスに対して価値を認めた人たちのみが参加し、トークンがサービス内で循環するような仕組みができあがる。
ブロックチェーンの活用
トークンエコノミーは、ブロックチェーン技術と組み合わせ、提供者が独自に開発した仮想通貨によって構築する。多くの場合、ビットコインに次ぐ市場価値を持つと言われる、ブロックチェーンのプラットフォーム「イーサリアム」を活用して生まれている。イーサリアムでは「カスタム・トークン」と呼ばれる独自の仮想通貨をつくることができる。この仕組みを活用することで、誰でも比較的容易に仮想通貨を設計し、それを独自のビジネスに活用できるようになる。例えば、自社のECサイトで利用できる「専用ポイント」としてカスタム・トークンを作成する、といった活用法が可能になる。
イーサリアムには、「スマート・コントラクト」という自動契約システムが実装されている。これを利用すれば、契約の締結から実行、取引完了までの条件を、プログラムによって完全に自動化し、この契約履歴記録をブロックチェーン上に書き込むことができる。これによって、取引を透明かつ自動的に共有することができるようになる。一度、カスタム・トークンの配布が終われば、カスタム・トークンによる取引は自動的にブロックチェーン上で管理され、以後、開発者たちがメンテナンスをする必要がなくなる。そのため、安価にトークンエコノミーを維持することができるようになる。
トークンエコノミーを成立させる3条件
①価値のある独自トークンが存在する
②特定の行動に対してインセンティブを付与する
③トークンの価値を高める施策がある
トークンエコノミーを持続的に運営できるようになるには、ユーザーにそのエコノミーに対して「参加することで、適切なメリットがある」と認識してもらうことが必要となる。そのために「ユーザー目線での仕組みづくり」や「そこで提供されるサービスや商品の価値を高めていく」ことが必要である。
また、トークンの価値は、流動性が低いと下がってしまう。これを防ぐには、ユーザーの投資を促すために各種のボーナスを付けたり、エアドロップ(無料で配る)などの施策を展開することも大切である。