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2019/05/14更新

トークンエコノミービジネスの教科書

  • 高 榮郁
  • 発刊:2019年3月
  • 総ページ数:224P

125分

10P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

対象読者:

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生産者と消費者を直接つなぐ経済圏

法定通貨においては、様々な利害関係が生じざるを得ない。その1つが、中間業者の存在である。法定通貨による経済圏では、大抵生産者と消費者の間に中間業者が入り、そうした業者に一定額のお金が流れていく。それに対して、トークンを用いた独自の経済圏での活動の場合、純粋にそのトークンに価値を見出す関係者しか参加しない。トークンを用いることで、法定通貨では難しい、生産者と消費者を直接つなぐことが可能になる。

トークンエコノミーでは、そのトークンが配布される特定のモノやサービスに対して価値を認めた人たちのみが参加し、トークンがサービス内で循環するような仕組みができあがる。

ブロックチェーンの活用

トークンエコノミーは、ブロックチェーン技術と組み合わせ、提供者が独自に開発した仮想通貨によって構築する。多くの場合、ビットコインに次ぐ市場価値を持つと言われる、ブロックチェーンのプラットフォーム「イーサリアム」を活用して生まれている。イーサリアムでは「カスタム・トークン」と呼ばれる独自の仮想通貨をつくることができる。この仕組みを活用することで、誰でも比較的容易に仮想通貨を設計し、それを独自のビジネスに活用できるようになる。例えば、自社のECサイトで利用できる「専用ポイント」としてカスタム・トークンを作成する、といった活用法が可能になる。

イーサリアムには、「スマート・コントラクト」という自動契約システムが実装されている。これを利用すれば、契約の締結から実行、取引完了までの条件を、プログラムによって完全に自動化し、この契約履歴記録をブロックチェーン上に書き込むことができる。これによって、取引を透明かつ自動的に共有することができるようになる。一度、カスタム・トークンの配布が終われば、カスタム・トークンによる取引は自動的にブロックチェーン上で管理され、以後、開発者たちがメンテナンスをする必要がなくなる。そのため、安価にトークンエコノミーを維持することができるようになる。

トークンエコノミーを成立させる3条件

①価値のある独自トークンが存在する
②特定の行動に対してインセンティブを付与する
③トークンの価値を高める施策がある

トークンエコノミーを持続的に運営できるようになるには、ユーザーにそのエコノミーに対して「参加することで、適切なメリットがある」と認識してもらうことが必要となる。そのために「ユーザー目線での仕組みづくり」や「そこで提供されるサービスや商品の価値を高めていく」ことが必要である。

また、トークンの価値は、流動性が低いと下がってしまう。これを防ぐには、ユーザーの投資を促すために各種のボーナスを付けたり、エアドロップ(無料で配る)などの施策を展開することも大切である。