独自の仮想通貨を発行することで、独自の経済圏を作り、効果的なサービスをつくるための基本が紹介されている一冊。
■トークンエコノミーとは
「トークンエコノミー」とは、「デジタル通貨による新しい経済圏」のことである。現在、経済の様々な場面で「特定の目的・範囲によって発行・使用される代替通貨」としてトークンが利用されるようになってきた。
トークンエコノミーでは、特定の範囲や対象でのみ使用できる「トークン」を介して「閉じた経済圏」を構築し、その中で配布者が意図した経済活動を期待することができる。トークンエコノミーでは、「法定通貨ではない」ということが重要なポイントになる。既存の法定通貨であれば、それが発行されている当時国内では、その法定通貨を用いて、大抵の経済活動ができてしまう。しかし、それでは配布者が意図しない目的で使用する可能性も生まれる。
トークンを特定の目的やサービスで使用できることに限定することで、その経済圏での経済行動につなげることができ、その結果、顧客のライフタイムバリューを高めるというマーケティング効果を期待することができる。
「企業→消費者」という一方向的なマーケティングを脱却し、企業と消費者が相互に共存し合う、新たなデジタル経済圏を構築するのが「トークンエコノミー」である。トークンエコノミーというビジネスモデルは、2017年頃から話題となっているブロックチェーン技術と組み合わせ、提供者が独自に開発した仮想通貨によって、これまでほぼ存在しなかった「ユーザーファースト」のサービスを提供しようという試みである。その多くが、ビットコインに次ぐ市場価値を持つと言われる、ブロックチェーンのプラットフォーム「イーサリアム」を活用して生まれており、現在も多種多様なトークンエコノミーが生み出されている。
イーサリアムなどのブロックチェーンを活用したビジネス用のプラットフォームは、投機の対象ではなく、次世代のサービスを提供する試みである。イーサリアムが世界で初めて実現した「スマート・コントラクト」という機能を活用することで、これまで煩雑だった事務手続きが全て自動化され、それぞれの顧客に対応したサービスを提供することが可能になる。
著者 高 榮郁
ロケットスタッフ 代表取締役 電通が調査した「NIPPON通15名」に選定。ソフトバンク系企業、MOVIDA JAPAN等を経て、2010年、ロケットスタッフを創業。 スマートフォン向け漫画アプリを展開し、月間アクティブユーザー50万人のサービスへと成長させる。2018年1月、ブロックチェーンを活用したオンライン広告取引プラットフォーム「ACA Network」を立ち上げ、トークンエコノミーによるビジネスの生々しい面を知る。 2018年7月、一般社団法人日本ブロックチェーン広告協会を設立し、オンライン広告業界のために活動中。
帯 エンジェル投資家 加藤 順彦 |
帯2 ソフトバンクモバイル元副社長 松本 徹三 |
帯3 TechWave編集長 増田 真樹 |
帯4 富士山マガジンサービス 代表取締役 西野 伸一郎 |
帯5 gumi 代表取締役会長 國光 宏尚 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 3分 | |
第1章 ブロックチェーンがもたらすトークンエコノミー | p.15 | 26分 | |
第2章 トークンエコノミーで、私たちの経済活動はどう変わるのか? | p.73 | 17分 | |
第3章 トークンエコノミーの先駆者たち | p.111 | 11分 | |
第4章 トークンエコノミーのビジネスは、こうすれば成功する | p.135 | 8分 | |
第5章 トークンエコノミーがつくり出す「未来」とは? | p.153 | 13分 | |
第6章 日本人にこそ、トークンエコノミーは必要だ | p.181 | 6分 |