金持ちの間で流行させよ
流行には、金持ちの間から流行りだして大衆に拡がっていくものと、大衆の中から起こってくるものとがある。この2つの流行を比べると、金持ちの間から起こってくる流行の方が圧倒的に息が長い。大衆の間から爆発的に起こってくる流行は、すぐに消えてしまう。
金持ちの間で流行したものが、大衆のところに流れてくるには、大体2年ほどかかる。ということは、金持ちの間にある商品を流行させれば、2年間はその商品で商売できる。金持ちの間で流行させる商品は、世界の一流品が一番である。金持ちになればなるほど一流品コンプレックスは根強い。
人間は誰しも、自分より一つ上のクラスを見て、せめてその程度の生活はしたいものだと考える。金持ちや上流階級は、大衆にとっては憧れの的である。金持ちが持っているものは自分も持ちたいと思っている。こうしてブームは次第に大衆の方に流れていく。この期間が2年である。山のてっぺんからモノを落とすのと、山の裾野からモノを転がすのと、どちらがやりやすいかと言えば、当然てっぺんから流した方がいい。
簡単に儲かる商売とは
商売には究極のところターゲットは「女」と「口」の2つしかない。男は働いて金を稼いでくる。女は男が稼いできた金を使って生活を成り立たせる。商売とは、他人の金を巻き上げることだ。儲けようと思えば女を狙い、女の持っている金を奪うことである。
とはいえ、女を狙うには商品の選択からセールスまで、ある程度の才能が必要である。そこへいくと「口」に入れるモノを扱う商売は、さしたる商才を必要とはしない。口に入れられた商品は刻々と消費され、何時間が後には次の商品が必要となる。売られた商品がその日のうちに消費され、排出されていくという商品は他にない。
勝てば官軍
日本人は、基本的に「性悪説」ではなく「性善説」をとっている。それは、講談や浪花節でもわかるように、とにかく長い間、「勧善懲悪」というモラルに慣れ親しんできたからだ。しかし、ビジネスの世界ではそうはいかない。ここでは、相手も絶対に儲けようと思っているのだし、自分もそう思っている。自分が儲けるためには、相手をどん底に陥れる。そうしなければ自分がやられる。
人間の本性は「悪」だという立場をとる。そういう立場をとってはじめて、自分をプロテクトしてビジネスができる。仕事をする以上は「性悪説」に立たない限り絶対に騙される。
ビジネスの世界には「勝てば官軍」の論理しかない。「敗者の美学」といったものは、文学の世界でだけ意味がある。文学でメシは食えないし、金儲けはできない。ビジネスの世界は負ければ即「倒産」しかないのである。