Appleはなぜ優れた製品を創り出すことができるのか。
iPhone担当主席エンジニアとして開発の最前線を担った著者が、アップルでの開発プロセスを紹介しながら、創造的なプロダクトを生み出すために必要なことを解説しています。
■アップルの何が特別なのか?
「アップル流のものづくり」には、実に様々な側面がある。例えば、インダストリアルデザイン、ハードウェアエンジニアリング、マーケティング、法務、世界中に広がる膨大なサプライチェーンの管理なども、ものづくりの一環だ。しかし、アップルという企業の本質、そのエッセンスを理解するには、まずソフトウェアを理解しなければならない。
美しいハードウェアを設計したり、巧みなマーケティングを仕掛けたり、優れた弁護士を採用したり、スマートフォンを大量生産したりすることは他社にもできるが、アップルほど直感的で、きめ細やかで、面白いソフトウェアをつくれる企業は他にない。アップル製品ならではの魔法が存在するとしたら、それはソフトウェアの中にある。
「具体的思考が足りない」というのは、朝食のシリアルに載せる果物を選ぶ時にはたいして問題にはならないが、クリエイティブな仕事では一大事だ。理由をつけずに選んでばかりいると、クリエイティブな取り組み全体が、目標を失って迷走する恐れがある。「優柔不断の積み重ね」になってしまうかもしれないのだ。
この落とし穴を避けるための判断力を磨く上で最も重要なのが「分析を重ねた好み」だ。これは、積極的に評価を行って、感覚的な意見を、自信を持って正当化できるようにすることをいう。
ものやアイデアについて好きか嫌いかを説明できるようになるまで考え抜くのはいつも簡単とは限らないが、健全で生産的なクリエイティブ・プロセスに携わるには、しっかりと自分の内側に現れた感覚を、その都度内省することが欠かせない。
アップルは製品開発企業として「デザインとは、どう機能するかだ」という信条を受け入れた。機能するデザインをつくろうとすれば、それが「分析を重ねた好み」に反映され、「魅力的でありながらまとまりのあるもの」を目指して「バランスをとる」というサイクルが自然とできあがる。
著者 ケン・コシエンダ
元アップルiPhoneソフトウェア担当主席エンジニア 15年以上にわたり、ソフトウェアエンジニア兼デザイナーとしてアップルに勤務。 イェール大学卒業後、バイク修理業、新聞社の社内図書室勤務、日本での英語教師、写真家などの職を転々としたのち、インターネットに出会う。独学でコンピュータ・プログラミングを学び、スタートアップ企業数社を経て、2001年にアップルに入社。 同社では、サファリ(ウェブブラウザー)、iPhone、iPad、Apple Qatchの制作に携わった。
帯 ペンシルバニア大学ウォートン校教授 アダム・グラント |
帯2 キャンダー・インクCEO キム・スコット |
帯3 「フォーチュン」誌シニアエディター アダム・ラシンスキー |
帯4 アップル初代iPhoneソフトウェアチームリーダー スコット・フォーストール |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
プロローグ | p.4 | 6分 | |
1章 アップルの極秘会議――世界で最もシビアなミーティング | p.24 | 30分 | |
2章 もっといいアイデアを、もっと早く――シリコンバレー式 超生産・仕事術 | p.67 | 27分 | |
3章 「時間」と「熱量」の法則――どれだけやったら「充分」? | p.106 | 22分 | |
4章 超・一点突破――スーパー・パワープレー | p.138 | 21分 | |
5章 「味方」をつくる――自分のために「気持ちよく」働いてもらう | p.168 | 18分 | |
6章 「明確かつ具体的」であれ――「答えのない問い」でも正解を導ける | p.194 | 27分 | |
7章 「前のアイデア」に戻る勇気――「やり直す」ようで飛躍する | p.232 | 32分 | |
8章 一気に「収束」させる――最後、手を抜くと「何もかも」終わる | p.277 | 31分 | |
9章 Appleの考え方――アイデアの出発地点 | p.321 | 29分 | |
10章 熱狂――「ゲームチェンジャー」の哲学 | p.362 | 8分 |
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