ビジョンとは
ビジョンは多くの人の頭の中に、何らかの「未来の姿」「映像」を見せる。言葉本来の意味から考えれば、視覚的なものであり、良い意味での映像を感じさせるものである。ビジョンが1つの視覚的なイメージとして描かれると、強烈な伝達力を持つ。
そして、重要なのは、ビジョンは単純な「絵」ではなく、明らかに「自らの意志を投影した未来像」であること。ビジョンは、まず何よりも「自らが心から達成したいと願う未来」でなければならない。
優れたビジョンは、人や組織に固有のものでありながら、多くの人に「私の夢でもある」と思わせる力を持っている。ビジョンとは、ある固有の組織や人の中に生じた「公共の夢」でもある。
また、優れたビジョンは、現状がどのような状態であろうと、あるべき未来を構想していく「洞察」と自らの「信念」を前提に組み立てられる。であるからこそ、未来を夢見たい私たちのエネルギーを結集する力を持っている。その性質は3つ。
①自らが心から達成したいと願う未来像である
②「公共の夢」として人々を巻き込む力がある
③未来への洞察と自らの信念の上につくられている
こうした性質を持ったビジョンは、企業の未来を指し示す。そのために自らの企業とビジネスがあるから「存在意義」でもある。ビジョンは、優れたコンセプトがそうであるように、日々の企業活動における共有された目標となり、モチベーションの源泉となると共に、一人ひとりの行動や判断の基準になる。その機能は3つ。
①共有された目標となる
②日々のモチベーションの源泉となる
③行動と判断の基準になる
ビジョンの性質と機能を前提にして、ビジョンは次のように定義される。
「自らが生み出しえる最高の公共的未来像」
ビジョンのつくり方
ビジョンは、会社や事業の外にはない。自分の深い根の中から芽を出す。内側から見出すしかない。ビジョンづくりは、大きく3つのステップに分かれる。
①探索ステップ
・創業の歴史を振り返る
・経営幹部インタビュー
・スタッフインタビュー&アンケート
・顧客および社外関係者へのインタビュー
・環境を分析する
②創出ステップ
・最初の問い(なぜ私たちはこの事業を行なっているのか)を確認する
・集めた素材を要素に分解して整理する
・グルーピングで意味合いを引き出す
・「なぜ私たちはそれをしたいのか」を問う
・インサイトとビジョンの種を探る
・ビジョンのキーワードをピックアップする
・ビジョンとアイデンティティを形にする
・ビジョンをチェックする
③定着ステップ