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2018/12/17更新

メルカリ 希代のスタートアップ、野心と焦りと挑戦の5年間

187分

1P

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カテゴリーキラー

スマートフォンでゲームのルールが変わり、それぞれの分野で「カテゴリーキラー」が登場している。特定の分野で強みを発揮するカテゴリーキラーは、流通の分野で耳にすることが多い用語だ。百貨店や総合スーパーが多様化する消費者のニーズに応えられなくなる一方、家具のニトリ、衣料品のユニクロ、日用品の無印良品といった専門分野に特化した企業が存在感を高めた。

パソコンを通じてインターネットを使っていた頃、ユーザーがまず訪れるのはヤフーなどのポータルサイトだった。ポータルサイトの運営企業は自社で様々なサービスを揃え、ユーザーの囲い込みを目指した。ところがスマートフォンの普及により、こうした状況は一変する。ユーザーは好みに応じてアプリをダウンロードし、スマートフォンのホーム画面に並べられるようになった。ホーム画面が一人一人のインターネットの入り口になったのだ。

実際、ポータルサイトが提供していた機能を代替するアプリが続々と登場した。コミュニケーションではLINE、ニュースはスマートニュースやGunosyといった具合だ。

こうした流れが強まると、中古品の売買でもヤフーがサービスの1つとして提供してきた「ヤフオク!」などに取って代わるアプリが登場する可能性が高まる。その有力候補がメルカリだった。

フリマアプリでは、インターネット企業のファブリック(現楽天)が運営する「フリル」が1年先行した。メルカリと前後してLINEやZOZO、カカクコムといった企業が参入している。メルカリがシェアを高める中、競合サービスの多くは撤退に追い込まれた。なぜ、メルカリだけが単独で急成長し、競合を圧倒する存在になれたのか。

非常識な戦い方

2013年当初、メルカリの1日のダウンロード数はまだ数千にとどまっていた。しかも、先行するフリルがすでに売上の10%を手数料として徴収していたのに対し、後発のメルカリはまだ無料だった。

メルカリはインターネット広告の利用を始めていた。反応は悪くなく、もっと広告に費用を投じたいと考えていた。今後6ヶ月間、広告に毎月5000万円ずつ使う。何回にも分けて資金調達するのは効率が悪いので、まとめてやりたいというのがプランだった。

2013年8月、ユナイテッドが第三者割当増資と新株予約権付社債の引き受けにより3億円を出資する。広告予算の消化が順調に進むようになると、ダウンロード数を示すグラフは右肩上がりの傾向が鮮明になった。先行したフリルにとっては、読者モデルのブログへの書き込みといった口コミがダウンロード数を伸ばす切り札になっていたが、後発のメルカリの戦い方は全く違うものだった。インターネット広告に多くの資金を回し、それによって赤字が膨らむことへのためらいはなかった。