意思決定のプロセスについて解説し、物事を合理的に決めるためのメソッドを紹介している一冊。優柔不断にならないようにするための考え方が書かれています。
■意思決定できる人とできない人の違い
人は何かを選ぶ時、豊富な選択肢があればその中から最適・最良・最善のものを選ぼうとする。ところが皮肉なことに、選択肢が多くなると選ぶことが困難になり、先に目についたものや推薦されたものを安易に選んだり、決断を先送りしたりする人が出てくる。
世の中にはスパッと意思決定できる人もいれば、なかなか意思決定できない人もいる。その違いは何か。鍵を握るのは「リスクへの姿勢」である。意思決定できる人とは「計算してリスクを取れる人」のことである、意思決定できない人は、その逆で「リスクを取れない人」である。
リスクを取れない人は、「リスクを取らない人」とは違う。リスクを適切に見積もって、それを取るべきではないリスクだと判断し、撤退することも立派な決断である。
■5段階フィルターモデル
優れた意思決定を安定的に行える人は、以下の意思決定のサイクルを自身の中に作り上げている。
①メタ判断
・真の問題が何か(目的と定義)を考える
・意思決定自体の必要度・緊急度・重要度・コストを判断する
・質にこだわるか、スピードや合意形成にこだわるかを判断する
②選択肢の生成・絞り込み
・情報を収集し、選択肢をつくる
・選択肢が多い場合、絞り込む
③選択肢の評価
・各々の選択肢に対してリスクを評価する
・結果を予測する
④決断
・リスクを最小にする方策を考える
・集団や組織との関係を考慮する
⑤評価学習
・意思決定のプロセスと結果を評価し、次の意思決定に活かす
・振り返り、反省する
著者 印南 一路
1958年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部教授 キングジム社外取締役 厚生労働省中央社会保険医療協議会委員 専門は医療政策と意思決定・交渉領域。 大学卒業後、富士銀行(現在のみずほ銀行)、厚生労働省勤務ののち、ハーバード大学行政大学院、シカゴ大学経営大学院で学ぶ。 シカゴ大学経営大学院助教授やスタンフォード大学留学などを経て、2001年より現職。
帯 サントリーホールディングス 代表取締役 新浪 剛史 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに 決断力を磨き、「技」として身につけるために | p.5 | 3分 | |
第1章 決断とは何か | p.15 | 15分 | |
第2章 なぜ日本人には意思決定のトレーニングが必要か | p.41 | 32分 | |
第3章 間違った判断が起きる典型的ケースを知る | p.95 | 20分 | |
第4章 すぐれた意思決定をするための5段階フィルター | p.129 | 20分 | |
第5章 実践!「サバイバル決断力」トレーニング | p.163 | 23分 | |
おわりに 人生の決断から振り返る三つの経験則 | p.202 | 2分 |