OKRの要諦
アンディ・グローブの時代のインテルにおいて、OKRはその活力源だった。OKRは毎週の個人面談、隔週のスタッフ会議、月次と四半期ごとの部門会議の中心にあった。具体的に何を達成できているのか、何を達成できていないのかをはっきりと示していた。アンディ・グローブから学んだOKRの要諦は以下の通りである。
①絞り込む
一握りの目標を厳選することで、何に「イエス」と言うべきか、何に「ノー」と言うべきかが明確に伝わる。1サイクルあたりの目標を3〜5個に限定すると、企業や組織や個人は重要なものを選ぶようになる。通常、個々の目標に連動する「主要な結果」は5個以下にする。
②目標はボトムアップで
組織や個人の意欲を引き出すには、上司と相談しながらOKRのほぼ半分を自分で決めさせるとよい。すべての目標をトップダウンで設定すると、意欲は削がれてしまう。
③押しつけない
OKRは優先事項を決定し、その進捗をどのように測るかを決めるための協力的な社会契約と言える。会社全体の目標についての議論がまとまっても、それに付随する「主要な結果」についてはまだ議論する必要がある。目標達成を最大限促すには、協力的な合意形成が不可欠だ。
④常に柔軟な姿勢で
事業環境が変化し、現在の目標が現実的ではない、あるいは妥当性を失ったと思われる時には、サイクルの途中でも「主要な結果」を修正したり、場合によっては捨ててもよい。
⑤失敗を恐れない
全員がすぐには手の届かないような目標に向かって努力する時、アウトプットは伸びる傾向がある。自分自身と部下に最大限のパフォーマンスを求めるのであれば、そのような目標設定は極めて重要である。事業目標の中には絶対に達成しなければならないものもあるが、野心的OKRは、困難で達成できない可能性もあるものにすべきだ。「ストレッチ目標」には、組織を新たな高みへと引き上げる力がある。
⑥手段であって、武器ではない
OKRという仕組みは、個人の仕事のペースを管理するためのものだ。自分自身のパフォーマンスを測るために、社員にストップウォッチを握らせるようなものである。勤務評定の根拠になるような正式文書ではない。リスクテイクを促し、力の出し惜しみを防ぐには、OKRとボーナスは切り離す方がいい。
⑦辛抱づよく、決然と
どんなプロセスにも試行錯誤はつきものだ。システムが軌道に乗るまでには、4〜5四半期のサイクルを繰り返す必要があるかもしれない。目標設定のための筋肉を十分身につけるには、さらに多くの時間がかかる。