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2018/10/10更新

VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学

372分

5P

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心理的臨場感は現実世界と同じように認知機能に影響を及ぼす

VRというのは、映画を3Dにしたり、テレビ映像を白黒からカラーにしたり、といった既存メディアのバージョンアップとは根本的に話が違う。VRは過去に存在しなかった全く新しいメディアであり、他のメディアにはない独自の特徴と心理的効果を持ち、我々が身の回りの現実世界や他人と関わる方法を完全に変えてしまう。

優れたVRは現実との境界線が目立たず、その仮想世界は現実世界と全く同じように変化する。HMDを装着した瞬間にはどこか別の場所にいる。プログラムによってどこに連れて行かれたとしても、「その場にいる」という感覚がある。「心理的臨場感」と呼ぶこの感覚こそ、VRの最も基本的な特徴である。その感覚が生じると、運動機能と認知機能は現実世界に対するのと同じように仮想世界と相互作用する。

VRを支える3つの技術

臨場感を作り出すためには、VRでは3つの要素が技術的に完璧に実行されなければならない。

①トラッキング
身体の動きを追跡する作業。

②レンダリング
単なる数学的情報を読み込み、それにふさわしい見た目、音、触覚、時には匂いを与えて具体化し、トラッキングした新しい場所に出現させる作業。

③ディスプレイ
トラッキングで新しい位置を把握し、そこでの視界や聞こえる音をレンダリングしたら、次にそれを利用者に伝える。

消費者向けVRが販売できるようになった理由の1つは、この三要素の実現に必要とされる能力を持つコンピュータが、十分に安価になったからだ。三要素の内1つでも欠けると、使用者はシュミレーター酔いになる。

没入感が脳に影響する

VRの利点の1つは、VR内での経験が心理的には現実だと捉えられるため、現実の経験と同じような生理学的反応を利用者の脳に引き起こす点だ。さらにVRには、身体の動きを伴うため、より学習効果を高める。人は現実世界で実際にそれを行なっている時と同じように身体を動かす。コンピュータとVRの違いはここにある。

認知を行う知性は脳にあるが、実は身体の別の器官も認知に影響を与えている。筋肉の動きやその他の感覚も、自分の周囲の世界を理解するのに一役を買ってる。

VRを上手に使えば人間心理に長期にわたる根深い影響を与えることもできる。人がVR内での経験によって影響を受けるという事実は、研究結果からも明らかになっている。VR経験は人の振る舞い方を変えることもある。しかもその影響はすぐには消えない。この事から、VRというメディアが持つ大きな可能性と危険性を同時に示す結論が導ける。即ち、VR経験は、単なるメディア経験ではなく実際の経験だと理解した方がいい場合が多い。