デジタル化の流れ
デジタル化には、3つのフェーズがある。
①ITを利用した業務プロセスの強化
②ITによる業務の置き換え
③ITが業務そのものになる
第3フェーズで大きな役割を果たすのが、AIやIoTであり、このフェーズがさらに進化した場合、現実世界と仮想世界が区別なく存在する社会が実現するとまで考えられている。デジタルトランスフォーメーションの例として、金融における「フィンテック」や、自動車業界における「コネクテッドカー」が象徴的である。
デジタルトランスフォーメーションは「ある事業のデジタル化」「一企業のデジタル化」というレベルではなく、あらゆる業種の企業がデジタル化する「産業のデジタル化」と捉える。企業は第4次産業革命を巡って、熾烈な戦いをグローバルに繰り広げていくことになる。
企業では、まず既存のビジネスをアナログからデジタルへ、つまり、インターネットをフル活用したビジネスモデルへと変革する必要がある。あるいは、ソフトウェアのコード開発を中心にした企業組織への変革が求められる。
ITが一般化した世界においての優位性は「データ」にある。データを保有する側にイニシアティブが移るのは必然で、それは現在においてもすでに顕著である。どの企業もできるだけ多くのデータを集められるように、パートナー集めを工夫すると共に、「インターフェース(人との接点)」に何らかの仕掛けを行うことにも工夫を凝らしている。ITを使うユーザーをも巻き込んで、パートナーをできるだけ増やそうという思想がある。
自律・分散・協調型組織につくり変えよ
インターネットの本質は「自律」「分散」「協調」の3つだが、これらを情報システムの方法論に過ぎないと限定的に考えてきたのが日本の組織である。この点に「日本が負けている理由」がある。日本社会は、インターネットに適合した制度改革を怠ってしまった。
組織や取引形態そのものをインターネット時代に合致したものに変えていく、つまり、組織そのものを従来の「ピラミッド型組織」から「自律・分散・協調型組織」につくり変えることが、日本企業にとっては急務になる。その目的は、急激な変化への対応スピードのアップとスケーラブルであり、自律することで、各参加者が独立して活躍できると共に、創造的かつ新しい挑戦ができることが大切である。自律・分散・協調型組織の運営においては、全体の基本的な共通戦略がまず重要で、その共通戦略を組織全体で共有するためのコミュニケーションを活性化させることも必要になる。