網羅と分類
リサーチの基本とは「網羅と分類」である。クライアントや調査対象がどのような内容であっても、調べ物や検索の手順は「網羅」を経て「絞り込み」へいくというのがセオリー。
「網羅」とは、お題に関して考えられるすべてのキーワードをピックアップし、それらを手掛かりにソースを当たり、あらゆる情報を集めることである。すべて漏れなく集めたら、その情報をじっくり分類していく。「分類」とは、たくさんある雑音を排除し、必要な情報を選り分け、それがどんな役割をみたすのか、どんなことを指し示すのかを判断し、インデックスを作ることである。
リサーチの失敗で一番つまらないことは、取りこぼしをすること。ストライクを狙うあまり、ピンポイントの調べ物しかしないと、そこ以外に存在する有効な情報を取りこぼすことになる。また、いきなりストライクの情報を求めても、まず何がストライクの情報なのかは、比較する対象がなければ判断できない。情報は常につながりの中で意味を持つのである。
脳内に情報地図を描く
網羅の過程で、脳内に情報地図を描く。その時、まずは丁寧に概論に当たることが第一歩。すでに知っていることでも、改めて概況、定義をさらうこと。自分の知識を過信せず、予備知識があったとしても、まっさらな気持ちで公式情報に当たること。
情報地図は、核となる情報を中心にしてそのテーマにまつわる情報を配置したもの。情報地図はシソーラス(全体部分関係、上下関係、対義語、類義語などを分類した体系)という考え方が基になっている。情報は単体で存在しているより、つながっていることで価値が高まる。その情報が今回のお題の正解かどうか判断する基準は、つながりの中での位置付けによるのである。
網羅のコツは「定義」「時間軸」「関連人物」「画像」などの視点で、情報を集めて、漏れを防ぐこと。
5つの基本ソース
網羅に欠かせないのが、次の5つのソースである。
①書籍
②新聞
③雑誌
④インターネット
⑤対人取材
これらのソースをお題ごとにオーダーメイドで組み合わせを変えたり、広げたりする。これがリサーチの基本のセオリーである。そして、書籍→新聞→雑誌→インターネット→対人取材、の順番でソースにあたることが、非常に重要である。まず、書籍を丁寧に当たることで、確かな情報を引き出せるだけでなく、その後のリサーチに役立つ示唆を得ることができる。
基本の5つのソースは総まくりする。この作業を経ると絶対に何かのヒントは見えてくる。特に情報が手に入りやすくなった時代だからこそ、原点に立ち返り、情報にきちんと当たる調査力が重要になってきている。