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2018/08/15更新

ジ・エンド・オブ・バンキング 銀行の終わりと金融の未来

219分

4P

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暴走するバンキング

デジタル革命以前であれば、政府保証と銀行規制を組み合わせるという方法で、バンキングの問題に対処することが可能だった。政府保証があれば、パニックに対する抑止力になり、マネーと信用の急激な崩壊を防ぐことができた。

しかし、情報技術の発達で、従来のバンキングシステムはもはや機能しなくなっている。規制の穴をつくのが簡単になり、過度のリスクを取る行為を抑制する力も失われている。銀行はバランスシートを駆使して大量の内部貨幣を創造している。その結果がシャドーバンキングのバブルであり、必然的に金融危機へとつながった。

バンキングが燃料を注ぐ好景気は、物価を歪め、実体経済では正しくリソースが配分されなくなった。野放しのバンキングは、好景気であれば魅力的な存在だ。経済成長と富の創造という幻を見せてくれる。投資が拡大し、雇用が促進され、消費が増え、資産価格が上昇する。

しかし、バブルが弾けると、人々はリソースが無駄遣いされていたことに気づく。物価が強制的に調整されたことにより、借金を抱える多くの人が返済に困るようになる。そして債務不履行が相次ぎ、あっという間にバンキングパニックにまで発展する。マネーと信用の急激な崩壊は物価の歪みにつながる。そして物価の歪みは深刻な景気後退をもたらす。

会計システムに新たなルールを導入せよ

暴走するバンキングが物価を歪めるのは、バンキングシステムにおけるマネーと信用が表裏一体の存在だからだ。マネーも信用も支払いの手段であり、マネーは目の前の支払いに使われ、信用は将来の支払いに使われる。

しかし現行のバンキングシステムでは、その役割が正しく分担されていない。内部貨幣という形をした信用が、目の前の支払いに使われているからだ。それに加えて、ゼロ金利制約の状態では、マネーも将来の支払いに使える存在になる。

壊れたバンキングシステムと共存する必要はない。今こそバンキングの終わりを要求するべきだ。そのためには、ただ制度を少し変えるだけでいい。

バンキングのルーツは複式簿記にある。つまりバンキングを終わりにするには、会計システムのレベルから見直さなければならない。そこで、組織的な支払いルールを導入すればよい。

「ある企業が保有する金融資産の総額は、その企業の純資産より少ないか同額でなければならない」
「企業が保有する実物資産の価値は、その企業が最悪の金融状況になった時の負債の価値よりも大きいか、または同等でなければならない」

つまり、他の誰かの負債になっている資産は、自分のお金で買わなければならないということだ。他の誰かのお金で、別の誰かの負債を買うことはできない。これを経済全体に適用すると、幾重にも連なる複雑なバランスシートの出現を防ぐことができる。