目先の売上や利益を優先するのではなく、将来生み出すキャッシュフローを最大化するためのファイナンスの考え方が重要であると解説する一冊。
ファイナンスの基本的な考え方を紹介しています。
■「PL病」という病
「PL脳」とは、目先の売上や利益を最大化することを目的視する、短絡的な思考態度のことである。目先の損益計算書(PL)の数値の改善に汲々としすぎるあまり、大きな構想を描きリスクをとって投資するという積極的な姿勢を欠き、結果として成長に向けた道筋を描くことができていないのが、現在の日本企業である。
「PL脳」に基づく経営は、高度経済成長期には一定の合理性を持っていた。直線的な成長を続け、将来のビジネス環境についての予測可能性の高い経済環境下では、昨年よりも良い業績を作るために改善を続ける「PL脳」が、十分有効に機能した。ところが、社会が成熟化し、かつてのような直線的成長が望めない社会や、技術革新のスピードがかつてなく速く、既存のビジネスが急速に陳腐化しかねない不確実な事業環境においては、より意志を持った主体的な経営の舵取りが求められる。「PL脳」では、21世紀の事業環境を御することはできない。
成熟化した不確実な時代を切り拓くパラダイムとして、必要な考え方が「ファイナンス思考」である。
ファイナンス思考とは、「会社の企業価値を最大化するために、長期的な目線に立って事業や財務に関する戦略を総合的に組み立てる考え方」のことである。
未来の社会を支える新たな産業を創出するためには、ビジネスに対する考え方を根本的に入れ替え、短期的な収益しか考えない「PL脳」から「ファイナンス思考」にアップデートすることが必要である。
著者 朝倉 祐介
シニフィアン 共同代表 競馬騎手養成学校、競走馬の育成業務を経て、東京大学法学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤務。東京大学在学中に設立したネイキッドテクノロジーに復帰、代表に就任。 ミクシィへの売却に伴い同社に入社後、代表取締役社長兼CEOに就任。業績の回復を機に退任後、スタンフォード大学客員研究員等を経て、政策研究大学院大学客員研究員。 ラクスル 社外取締役 セプテーニ・ホールディングス社外取締役
帯 一橋大学教授 楠木 建 |
帯2 経営共創基盤 代表取締役 冨山 和彦 |
週刊東洋経済 2018年8月4日号 [雑誌](親の看取り方 悔いなく見送るために) |
週刊ダイヤモンド 2018年 8/25 号 [雑誌] (平成経済全史30 さらばレガシー、その先へ) 三省堂書店 有楽町店主任 岡崎 史子 |
エコノミスト 2018年 10/9 号 [雑誌] |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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第1章 PL脳に侵された日本の会社とビジネスパーソン | p.1 | 30分 | |
第2章 ファイナンス思考なくして日本からアマゾンは生まれない | p.47 | 23分 | |
第3章 ファイナンス思考を活かした経営:アマゾン、リクルート、JT、関西ペイント、コニカミノルタ、日立製作所 | p.81 | 45分 | |
第4章 PL脳に侵された会社の症例と末路 | p.149 | 54分 | |
第5章 なぜPL脳に侵されてしまうのか | p.231 | 18分 | |
おわりに | p.258 | 5分 |
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