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2018/07/10更新

もうひとつの脳 ニューロンを支配する陰の主役「グリア細胞」 (ブルーバックス)

492分

2P

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これまでの常識を覆す脳の仕組み

脳細胞の8割以上を占めるグリア細胞は、これまでニューロンの隙間を埋める梱包材と見なされ軽視されてきた。しかし、近年の研究で、グリア細胞は、ニューロンの活動を感知し、その動きを制御できることがわかってきた。これまでの常識を覆す、脳の仕組みの最前線を紹介している一冊。


■見過ごされていたグリア細胞
私たちの脳内には、1000億個の神経細胞(ニューロン)が存在する。これまで情報はニューロンを介して電気によって伝えられると想定されていた。実のところ、ニューロンは脳内の全細胞の15%でしかない。残りのグリアと呼ばれる脳細胞は、電気活動を行うニューロンの間を埋める梱包材に過ぎないと、これまで見過ごされてきた。しかし、このグリアが互いに交信していることが発見され、科学者たちは、今、衝撃を受けている。この細胞が、神経回路を流れる電気活動を感知できるだけでなく、その活動を制御さえできることが判明し、脳に関する科学者の理解は根底から揺らいでいる。

アインシュタインの脳にあるニューロンの数は、平均すると非凡な創造力で知られている訳ではない人たちと変わりなかった。しかし、アインシュタインの脳のサンプルには、人並み以上のグリアがあった。当時、グリアが精神機能に関与しているかもしれないという推察は、大部分の神経学者の概念的枠組みから大きく外れていた。

超短要約

「グリアがニューロンを支えているならば、原理的には、ニューロンはグリアに依存しており、さらに言えば、もう1つの脳に制御されている」という見解が形成されつつある。

著者 R・ダグラス・フィールズ

国立小児保健・人間発達研究所 神経系発達・可塑性部門長 メリーランド大学神経科学・認知科学プログラム客員教授 自身が創刊した学術誌『Neuron Glia Biology』の編集長をはじめ、神経科学分野の数誌で科学顧問や編集委員を務めている。ニューロン-グリア相互作用、脳発達および記憶の細胞機構の世界的権威。

この本を推薦しているメディア・人物

週刊ダイヤモンド 2018年 6/9 号 [雑誌] (最凶官庁 財務省の末路) 週刊ダイヤモンド 2018年 6/9 号 [雑誌] (最凶官庁 財務省の末路)
作家 瀬名 秀明

章の構成 / 読書指針

章名 開始 目安 重要度
はじめに p.3 2分
第1章 グリアとは何か ― 梱包財か、優れた接着剤か p.14 18分
第2章 脳の中を覗く ― 脳を構成する細胞群 p.38 45分
第3章 「もうひとつの脳」からの信号伝達 ― グリアは心を読んで制御している p.99 19分
第4章 脳腫瘍 ― ニューロンはほぼ無関係 p.130 12分
第5章 脳と脊髄の傷害 p.147 32分
第6章 感染 p.191 34分
第7章 心の健康(メンタルヘルス) ― グリア、精神疾患の隠れた相棒 p.237 35分
第8章 神経変性疾患 p.285 26分
第9章 グリアと痛み ― 恩恵と災禍 p.320 20分
第10章 グリアと薬物中毒 ― ニューロンとグリアの依存関係 p.347 10分
第11章 母親と子供 p.361 28分
第12章 老化 ― グリアは絶えゆく光に抗って奮い立つ p.399 18分
第13章 「もうひとつの脳」の心 ― 意識と無意識を制御するグリア p.424 23分
第14章 ニューロンを超えた記憶と脳の力 p.455 13分
第15章 シナプスを越えた思考 p.473 29分
第16章 未来に向けて ― 新しい脳 p.513 6分

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