成功するイノベーションには何が必要か。「zenschool」という「対話」を重視する独自のイノベーション創出講座で、多くのイノベーション支援を行ってきた著者が、イノベーションを導く方法を紹介しています。
■不確実で不透明な時代には禅の精神が必要
今なお、多くの業界が既存のビジネスモデルを引きずっている。AI時代を迎えて、今後は多くの産業で既存のビジネスモデルの大変革が求められるところである。そんな今の時代は「VUCAの時代」とも言われている。VUCAとは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(不透明性)」の頭文字を繋げた言葉だ。「不確実で不透明な時代」を表す。
このVUCAの時代に求められるのは、身の回りで起きる様々な事象を、自分の心のクセを外して完全にバイアスフリーで、すべて「あるがまま」で本質を正しく観る姿勢である。「あるがまま」そのままを正しく観、正面からそれらに向き合い解決していく「禅」の精神が求められていく。なぜなら、VUCAの時代にあって豊かに生きようとすれば、既存のルールを超えた新たな発想が必要になるからである。
トゥルー・イノベーションとは、「問いを立てるプロセス」である。トゥルー・イノベーションの「問いを立てるプロセス」は、デザイン思考の最初のプロセスである「共感」に該当する。そして誰かへの共感でなく、自分の心に共感するという意味だ。トゥルー・イノベーションでは「問いを立てるプロセス」も3つにブレイクダウンされる。
①チーム・ビルディング
②対話
③内発的動機の発掘
著者 三木 康司
1968年生まれ。enmono 代表 大学卒業後、富士通に入社し海外営業部に配属される。その後、慶應義塾大学大学院藤沢キャンパス(SFC)へ自費留学。インターネットを活用した経営戦略を研究し、政策・メディア修士号を取得後、博士課程へ進学。 中小製造業支援ベンチャーに入社し、博士課程を中退。同社が国内最大規模の製造業ポータルサイトに成長するのを支える。担当役員を務めた後、2009年にリストラに伴い退職。 退職をきっかけに坐禅を開始し、坐禅中に思いついたアイディアをもとに、2009年、enmonoを起業。同社は「ワクワクするモノづくりで世界が元気になる」を経営理念とし、自社製品・サービス開発講座「zenschool」などを通じて誰もがメーカーになれる「マイクロモノづくり」の概念の普及に努めている。 また、自身が居住する鎌倉をベースにしたローカル・コミュニティ「カマコン」のメンバーとして、マインドフルネスの国際カンファレンス「Zen2.0」を企画。2017年には、建長寺で、禅の老師、研究者、アーティスト、ジャーナリストなど、多岐にわたる専門家がプレゼンテーションを行った。
帯 慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授 前野 隆司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ 「イノベーション」という言葉にウンザリな人へ | p.2 | 9分 | |
1章 「マインドフルネス・ビジネス」の時代――211.8兆円規模の市場が持つ可能性 | p.25 | 19分 | |
2章 「問いを立てる力」と「対話する力」――AI時代の人間に求められる能力 | p.57 | 24分 | |
3章 ロジカル・シンキングの罠――日本企業のイノベーション部門が失敗する理由 | p.99 | 16分 | |
4章 「ウサギ」と「カメ」のイノベーション競走――理解されない「カメ」を支えるチームの力 | p.127 | 21分 | |
5章 イノベーターと「十牛図」――「真の情熱」を見つける「悟り」のプロセス | p.163 | 19分 | |
6章 実践「トゥルー・イノベーション」――先入観から自由になるzenschool式思考術 | p.195 | 24分 | |
7章 自分と向き合う「禅的」対話の技術――「啐啄同時」の瞬間、世界はバラ色になる | p.237 | 10分 | |
エピローグ 「トゥルー・イノベーション」が人を動かす時代へ | p.255 | 5分 |