集中することは必ずしも正しいとは限らない。人気作家が、発想を得るためには、むしろ集中することが邪魔になると説き、新しい発想を得るためのヒントを紹介しています。
■集中することが良いとは限らない
「集中」や「集中力」は求めるべきもの、高めるべきものと信じて疑わない社会的な傾向が既にあって、その理想に向けて鍛錬しなければならない、と教えられる。それに合う人はいいが、タイプが合わない人間には、むしろ逆効果になりかねない。運動に向き不向きがあるように、頭脳の働き方にも向き不向きが当然ある。
発想が求められる仕事では、インスピレーションが成果のほとんどである。この「発想」には、いわゆる1つのことしか考えない「集中」が逆効果である。むしろ、別のことを考えていたり、あれもこれもと目移りしていたりする時の方が、発想しやすい。ヒントはいつも、ちょっと離れた所にあるからだ。一点を集中して見つめていては、その離れたものに気づくことができない。
発想を求めるような作業では、一点を見つめるような集中はかえって逆効果であり、常に辺りを見回すような「分散思考」が有用である。
著者 森博嗣
1957年生まれ。小説家、推理作家、工学博士。 国立大学の助教授として「粘塑性流体の数値解析手法」の研究を続ける傍ら、小説を執筆。1996年、『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞。 大学や研究所等が舞台となることが多く、作風も相まって理系ミステリィと評され、話題を呼んだ。広義の推理小説と呼ばれるジャンルを中心として執筆していたが、近年は、恋愛小説、絵本、詩集といった他分野にも進出している。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
帯 コピーライター 糸井 重里 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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まえがき | p.3 | 7分 | |
第1章 集中しない力 | p.27 | 14分 | |
第2章 「集中できない」 仕事の悩みに答える | p.55 | 19分 | |
第3章 「集中しない」と何故良いか | p.93 | 13分 | |
第4章 考える力は「分散」と「発散」から生まれる | p.119 | 14分 | |
第5章 思考にはリラックスが 必要である | p.147 | 10分 | |
第6章 「集中できない」感情の悩みに答える | p.167 | 12分 | |
第7章 思考がすなわち人間である | p.191 | 8分 | |
あとがき | p.207 | 3分 |