年齢を重ねると、脳はただ衰えるのではない。最新の研究によれば、脳はむしろ中年になるほど能力を向上させるということが発見された。脳の老化プロセスの中で、新たに獲得される能力や仕組みを紹介している一冊。
■脳の力は中年期に頂点に達する
脳は中年期にその能力の頂点に達し、長い間その頂点を維持することがわかった。中年脳は落ち着いていて、状況に順応する。脳に変化が起こり、その変化のおかげで世界を達観できるようになり、時にはかなり創造的にもなる。最近の研究結果では、重要な脳の機能に起こる深刻な欠損は70代後半まで発現せず、また、多くの場合は70代後半を過ぎても発現しないことが明らかになっている。
中年期やその時期を過ぎた頃、脳のどの能力が衰え、その能力が維持されるか、さらにどの能力が頂点に達するかには大きな差がある。記憶力は名前を覚えるのに確実に関係があるが、これは衰える。しかし同時に、人物や仕事、お金の出し入れなど、自分たちを取り巻く世界について的確に判断する力は強くなる。脳はつながりのパターンを蓄積する。このつながりは知識の層が絡み合ったもので、これによって状況の類似点をすぐに認識して解決策を見つけることができる。
中年脳は驚くほど能力があり、意外な才能がある。中年は他の世代に比べて賢く、落ち着いていて、幸せを感じている。それも、それなりに歳を重ねる内に、色々な事実を脳に貯めてきたからというだけではない。人間の脳は、中年に達すると実際に再構成が始まり、行動や考え方も変わり始める。
著者 バーバラ・ストローチ
『ニューヨーク・タイムズ』科学・健康・医療系記事 副編集長 米国カリフォルニア大学バークレー校(英文学専攻)卒業後、新聞記者として長年のキャリアを持つ。 扱う範囲はスペースシャトルのミッションから警官の誤射事件まで幅広く、ニューヨークの地下鉄事故の記事はピューリッツァー賞受賞(1992年)
帯 東京大学大学院薬学系研究科 教授 池谷 裕二 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ | p.10 | 13分 | |
Part 01 「中年になると脳は衰える」というのはウソ | p.29 | 63分 | |
Part 02 本当はすごい「大人の脳」 | p.121 | 57分 | |
Part 03 より健康な脳を作るための習慣 | p.205 | 69分 | |
エピローグ | p.306 | 7分 |
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