複数のプレイヤーの意思決定や行動の依存的状況を分析し、状況を整理する「ゲーム理論」を戦略に活かすための教科書。
自社を取り巻く環境を「ゲーム理論」の視点が読み解くための考え方が紹介されています。
■ゲームを支配するための3つのポイント
ゲームの展開は「手番のタイミング」に大きく左右される。手を打つ前に相手の手を観察できるかどうか(観察可能性)、ゲームの展開を事前にコミットできるかどうかが、大きくものをいう。そして、プレイヤーは当然、手番のタイミングを自分に有利に変えるための策を講じる。
①観察可能性を逆転する
自分の手番を相手が観察できるようにする。例えば、自分のやり方を信憑性をもってレポートしてくれる第三者を確保する。あるいは、反対に、自分の手を相手が観察できないようにする。わざと複数の行動が考えられる布石や宣言を出しておくことで、信号を妨害する。
ゲーム理論が最大の威力を発揮するのは、展開されているゲームを認識し、有利なゲームチェンジを考えていくところにある。ゲームを変革し、自分にとっての戦略的優位に持ち込むためには、6種類のアプローチがある。
①コミットする
②規制させる
③合併もしくは共謀する
④報復を可能にする
⑤信頼を構築する
⑥関係性を活用する
著者 デビッド・マクアダムス
デューク大学 教授 MBA教育プログラムで世界的に評価の高いデューク大学 フュークワ・スクール・オブ・ビジネスで経営学、および経済学の教授を務める。専門はオークション理論、マーケットデザイン、ゲーム理論、産業組織論。 ハーバード大学で応用数学の学士、スタンフォードの大学院で統計学の修士、経済学の博士号を取得、MITスローンスクールにて応用経済学の准教授を務めた後、現職。 "Game Theory for Strategic Advantage"という授業は、受講者が毎年200人を超える超人気授業となっている。 買い手と売り手の戦略的な相互作用、値付けやオークション、交渉、人間関係などを、ミクロ経済学とゲーム理論を用いて研究している。その結果は、エコノメトリカ誌をはじめ、多くの雑誌に掲載されているほか、バロンズ、ガーディアン、NPRなどのメディアでも取り上げられている。また、マーケットデザインとゲーム理論を活用したコンサルティングも行っている。
TOPPOINT |
日経ビジネス 東京大学大学院経済学研究科教授 柳川 範之 |
帯 ハーバード・ビジネス・スクール 経済学・経営学教授 アルヴィン・ロス |
帯2 元Google チーフエコノミスト プレストン・マカフィー |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
序 章 あらゆるビジネスで勝つためのたった1つの原則 | p.1 | 14分 | |
第1章 ツール1 コミットの威力を熟知する | p.23 | 32分 | |
第2章 ツール2 有利な規制を呼び込む | p.63 | 24分 | |
第3章 ツール3 合併と“共謀"で出し抜く | p.93 | 29分 | |
第4章 ツール4 有効な報復で牽制する | p.129 | 14分 | |
第5章 ツール5 信頼を構築する | p.147 | 16分 | |
第6章 ツール6 関係性を活かす | p.167 | 24分 | |
第7章 ファイル1 価格比較サイト | p.201 | 11分 | |
第8章 ファイル2 タラ資源の崩壊 | p.215 | 8分 | |
第9章 ファイル3 不誠実な不動産エージェント | p.225 | 13分 | |
第10章 ファイル4 救急外来に訪れるグレーな患者 | p.241 | 17分 | |
第11章 ファイル5 イーベイにおける「評判」の構築 | p.263 | 21分 | |
第12章 ファイル6 薬剤耐性菌を駆逐する | p.289 | 25分 | |
エピローグ ゲーム認識力が未来をもたらす | p.321 | 5分 |
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