SNSならではの特性をいかに活用するか
スマホの発達により、個人の投稿がバズったり拡散したりしながら、かつての広告よりも広く多く、人々に影響を与えられるような産業構造が、メディアの変遷にとって偶然に生まれてしまった。
SNSの世界では、「情報伝達経路」や「人と人とのつながり方」が、リアルな世界とはずいぶんと異なっている。1つの投稿に対して、SNS上で同時多発的な「井戸端会議」が発生することにより、多くの人がその情報を「シェアする」ことになる。このような「SNSならではの特性」をいかに活用するかが、21世紀におけるビジネスの成功の鍵を握っている。
SNSの肝はブランディングである
SNSの肝は「アドバタイジング(広告)ではなく「ブランディング」である。ブランディングとは、ユーザーの「モノやサービス、企業」に対する共感、信頼を得ることでその価値を高める、マーケティング戦略を意味する。モノやサービスを知らしめる「広告」は一過性の戦略であるのに対し、ブランディングはユーザーや社会との接点を見つける、根源的な戦略であると言える。
SNSはあくまでも「中長期的なブランディングの一手段」として活用するのが正解である。つまり、SNSでは費用対効果は考えない。多くの人がSNSを上手く使えていない現状の根底には、「SNSはテレビCMにとって代わるメディア」という大きな誤解がある。本当に考えなければいけないのは、そのサービスや商品が「どのメディアの特性に合っているのか」という根本的なブランディングである。
ブランディングと広告の違いは、「投資」と「コスト」という考え方にある。SNSは中長期的なメリットを目指すブランディングだから、昨日今日で成果が上がらなくても良い。目先の数字だけしか見えてないようでは、今の時代にSNSを使いこなすことはできない。
本当にいいものを引き出す
SNSは良くも悪くも「リアルが透けて見える」メディアである。このSNS時代において問われるのは、いかに素直に、フィルターをつけずに、世の中の流れやマーケットを見て、クライアントのオーダーや商品のプロモーションにマッチさせていくかということ。
そして、ブランディング以前にコンテンツそのものが魅力的でなければ、ユーザーの心を掴むことはできない。スマホから大量に溢れる情報の中から、いかにユーザーが共鳴共感できるストーリーやアイデアを提供することができるのかを考えていく必要がある。
良きマーケターは、良きインタビュアーになっていい質問をして、クライアントから「本当にいいもの」を引き出すことが大切である。