信頼は信頼を生む
人は信頼されると脳内で神経伝達物質のオキシトシンを合成する。オキシトシンが分泌されることで、私たちは受けた信頼に応えようとする。
高いレベルのストレスは、オキシトシンの分泌を抑制する。オキシトシンを抑制する因子には、テストステロンがある。競争やステータスがテストステロンの増加に影響する。一方、グループの一員として感じる適度なストレスは、オキシトシンの分泌を促す効果的な刺激になる。チームが大きなプロジェクトに取り組んでいる時は、メンバー同時で団結し、物事をやり遂げなければならない。メンバーのちょっとしたミスや性格的な癖などもチームワークが優位になることでかすむ。オキシトシンの分泌を促すには、ストレスやテストステロンが強すぎない、ポジティブな社会的交流があればいい。
信頼を実現する8つの要素
職場のエンゲージメントを維持する方法として、ポジティブな社会的交流を通じてオキシトシンが分泌される文化にすることが挙げられる。神経科学で実証されている8つの因子を活用することで、組織の信頼を高めることが可能である。
①オベーション
組織の成功に貢献した人を賞賛すること。オベーションは、仕事ぶりに対する評価と達成した目標を関連付け、チームの成功に貢献したことによる内発的報酬を促す。重要なのは、あくまで個人に向けたものにすること。
②期待
同僚がグループとしての課題に直面した時に生じるもの。挑戦的ストレスが与えられると、脳は即効性のストレスホルモンを分泌し、極めて高い集中力をもたらす。
③委任
従業員がプロジェクトの進め方を自ら選択できるようにすること。委任は、現場の知恵を活用することでイノベーションに拍車をかける。
④委譲
従業員が自ら仕事をデザインし、自己管理することを可能にする。私たちは自分の仕事をコントロールできるようにすることで、ストレスホルモンの分泌を抑えることができる。
⑤オープン化
従業員とともに情報を広く共有すること。職場のストレスを生む背景には一貫して、上司の存在と上司の意向がわからないと言う2つの要因がある。こういったストレスは「オープン化」を取り入れることで解消できる。
⑥思いやり
同僚との人間関係を意図的に構築する。いわゆる「仕事」のイメージから離れ、友人と一緒に物事に取り組んでいるような気分になる。同僚や上司と良い関係を築くと、直ちにモチベーションが高まる。
⑦投資
自発的に働く従業員が仕事や生活面で様々な目標を持っていると認識し、それに応えること。投資は、従業員の人間的な成長を促すことで、組織に対する長期的なコミットメントの基盤をもたらす。
⑧自然体
誠実で謙虚なリーダーがいる組織は、従業員が自然体でいられる組織である。