ブロックチェーンなどの新しい技術によって、経済システムは誰でも作ることができるようになった。これまで唯一の価値交換手段だったお金を誰でも発行できる時代になり、今後は不平等な資本主義経済から、様々な新しい経済システムが作られていく時代になっていくと説いています。
■お金が目的になった資本主義
お金には価値の保存・尺度・交換の役割がある。最初、「お金」は価値を運ぶツールだった。ただ「お金」が社会の中心になるにつれ、価値をどう提供するかを考えるよりも、「お金」から「お金」を生み出す方法を考えた方が効率的であることに、気づく人が出てきた。人を雇用して製品を作って市場で売って「お金」に換えてまた何かを買うよりも、「お金」に「お金」を稼がせる方が楽である。
価値を仲介するツールに過ぎなかった「お金」が、価値から分離して一人歩きを始めた。証券化などのスキームが生み出され、「お金」を金融商品として販売できるようになるとこの流れはさらに加速し、実体経済の消費とは関係のないところで「お金」だけがぐるぐると1人歩きをし続けるようになった。価値を効率的にやりとりするための手段として生まれた「お金」は、やがてそれ自体を増やすことが目的に変わっていった。
■3つのベクトルが未来の方向性を決める
現実はおおよそ3つの異なるベクトルが並存し相互に影響を及ぼしており、それらが未来の方向性も決めている。
①お金(経済)
経済の構造は弱肉強食が大前提で、より強く大きいものが弱く小さものから奪うという構造になっている。経済は淘汰と食物連鎖を繰り返している。
②感情(人間)
ある思想が全人類の共感を得ることはないが、必ず一定の母集団を形成するのに役立つ。いくらお金の性質を掴んで経済的な成功を収めても、他人の感情を無視しては長続きしない。
③テクノロジー
テクノロジーは大きな変化のきっかけをいつでも作ってきた。最近はこのテクノロジーの影響力が徐々に強まっている。
異なるメカニズムで動く3つの要素が、それぞれ違うベクトルを指して進んでいる。それらの先端を結んだ三角形の中間が「現在」であり、その軌道が「未来」の方向性である。引っ張る力はお金が一番強く、次に感情、最後がテクノロジーである。ただ必ず3つのベクトルが揃っていないと現実ではうまく機能しない。
著者 佐藤 航陽
1986年生まれ。メタップス 代表取締役社長 大学在学中の2007年に株式会社メタップスを設立し代表取締役に就任。2011年に人工知能を活用したアプリ収益化支援プラットフォーム「metaps」を開始。 これまで累計57億円の資金調達を実施し、東京、シンガポール、香港、台湾、上海、サンフランシスコ、ソウル、ロンドンの世界8拠点で事業を展開。 2015年のフォーブス「日本を救う起業家ベスト10」、AERA「日本を突破する100人」に選出。
帯2 芸人 西野 亮廣 |
エコノミスト 2018年 2/20 号 |
帯 慶應義塾大学名誉教授 竹中 平蔵 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
週刊ダイヤモンド 2017年 12/23 号 [雑誌] (大増税&マイナンバー時代の節税術) 八重洲ブックセンター八重洲本店 販売課主任 鈴木 寛之 |
PRESIDENT (プレジデント) 2018年3/5号(ウソが平気な人、悪口好きな人) |
THE21 2018年 10 月号 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 7分 | |
第1章 お金の正体 | p.21 | 53分 | |
第2章 テクノロジーが変えるお金のカタチ | p.109 | 23分 | |
第3章 価値主義とは何か? | p.147 | 39分 | |
第4章 「お金」から解放される生き方 | p.213 | 12分 | |
第5章 加速する人類の進化 | p.233 | 16分 | |
おわりに | p.259 | 3分 |