Netflix、セールスフォース、Amazonプライムなど、あらゆるサービスが、サブスクリプション(定額制、継続課金)へとシフトしている。これからの企業はいかにサブスクリプション型サービスへの対応をしていくべきかを解説している一冊。
■サブスクリプション・エコノミーの拡大
サブスクリプション、あるいは会員制は、顧客と長期的関係を保つためのものである。サブスクリプションというビジネスモデルは、遅くとも雑誌か新聞が登場した頃には存在していた。それが、ここへきて急速に広まっている。新技術のおかげでモノやサービスの利用、提供が簡単になり、このモデルを導入できる業界がどんどん増えているのだ。
私たちはサブスクリプションボックスの申し込みをし、動画や音楽の配信サービスを利用し、ソフトウェアをパッケージで買う代わりにウェブベースのアプリケーションを使う。サブスクリプションモデルによってビジネス界も様変わりしている。企業ではソフトウェアやストレージ、電気通信、印刷、人材紹介、消耗品、工業薬品など、あらゆるモノやサービスの購入法の見直しが進んでいる。
サブスクリプションは買うより手軽で、私たちの意思決定の負担を軽減してくれる。カスタマイズというトレンドもこのモデルを後押ししている。自動化が進み、情報が溢れる社会で、私たちは人に認められているという感覚を得たいと思っている。
伝統的なマーケティングの戦略・手法は、契約を1つとって見込み客を客に変えることに主眼をおいている。だが、サブスクリプション型ビジネスを手がける企業は、顧客との長期的関係を築いていくことに重点を移している。実際、サブスクライバーは見込み客であり、常に関わり、育てる必要がある。
見込み客の創出、見込み客の育成、契約と続き、その次の段階で行われる活動が価値の育成である。サブスクリプション・マーケティングではそれが当然の流れである。価値の育成とは、購入後の価値の経験を設計し、最適化することだ。その方法は少なくとも5つある。
①顧客が満足感を得るのを助ける
価値の育成とは、マーケティングを通して会社が顧客にそれとなく約束したことを実行し、顧客が期待通りの価値を享受できるよう助けることである。これを実行するには、他の部署とも協力してカスタマーサクセス管理を進めることになるだろう。
②価値の実証
顧客が成功を収め始めたら、マーケターは彼らが価値を実現していることをそっとわからせると良い。これには、それとなく伝える、その顧客のデータを届けるなどの方法がある。これを行うのは、顧客の心の中で価値の経験を強化するためだ。
③価値の創造
創造的なマーケティングチームは商品、サービスの利点を伝えて終わりというようなことはしない。コンテンツやコミュニティ、データを使って価値を高める。
④顧客との関係を通した価値の創造
サブスクリプションビジネスで成功を収めるには、顧客と長期的関係を築くことが必要だ。顧客との関係に注意を向け、それを育てていくのはマーケティングチームである。そのための戦略は「恋のアドバイス」のようなものでなければならない。顧客があなたとの取引を好きになってくれるような方法を見つけるのだ。
⑤価値観の共有
サブスクリプションベースのビジネスをする企業にとって、業績を上げるためには顧客ロイヤリティが非常に重要だ。顧客と価値観を共有することができれば、顧客との長期的な絆が生まれる。
著者 アン・H・ジャンザー
著述家、マーケター、ライティングコーチ プロフェッショナルライターとして、100を超えるテクノロジー企業と仕事をしてきた。テクニカルな話題について論じるマーケターなどのためにワークショップを開いている。さまざまな業界誌やブログに寄稿。 ライティングやマーケティングについて、自身のウェブサイトAnneJanzer.comでも定期的に発信している。
日経ビジネス |
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章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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イントロダクション | p.3 | 9分 | |
PART 1 サブスクリプション・シフト | p.23 | 36分 | |
PART 2 価値育成のための戦略 | p.85 | 53分 | |
PART 3 戦略の実践 | p.177 | 39分 |
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