過去や他者との比較によって、人の幸福度は変化する。格差が拡大している現在において、人々の幸福度が下がっている現状を解説しながら、いかに個人の幸福度を高めれば良いのかを示唆する一冊。
■広がり続ける格差
1970年代初期までは、あらゆる層の世帯で、所得は約30年にわたって同じ割合(年3%弱)で伸びてきた。ところが、1970年代初期から2007年の間では、アメリカで大幅に所得が増加した世帯のほぼすべてが所得分布の上位1/5に、中でもトップ1%に集中していた。この1%がこの国の金融資産全体の42%以上を所有していた。金融危機の直後には、所得規模の両端の層の隔たりはかなり狭まった。しかし、景気が回復し始めると、トップ層を苦しめた状況はすぐに好転し、その一方で、最下層の人々の時間当たりの賃金は停滞し続けた。2013年には、稼ぎ手のトップ1%は所得の伸び全体の93%を手にした。
1970年から2007年にかけての税引き前所得の格差拡大は、技術の変化や競争の激化の結果、あらゆる領域で最も有能な人材の経済的影響が大きくなったために生じた。そしてこの一人勝ち状態の傾向は継続しているため、格差はまだまだ広がり続ける可能性が高い。
①人には相対的な消費が重要だと感じる領域がある
②相対的な消費への関心は「地位獲得競争」、つまり地位財に的を絞った支出競争につながる
③「地位獲得競争」に陥ると、資金が非地位財に回らなくなって幸福度は下がる
④中間所得層の家庭では、格差の拡大によって「地位獲得競争」から生じる損失がさらに悪化した
著者 ロバート・H・フランク
H.J.ルイス講座 教授(経営学) コーネル大学ジョンソンスクール 経済学教授 ニューヨーク・タイムズ紙では10年以上にわたり経済コラムを執筆。
帯 金森実業代表取締役 金森 重樹 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
マインドマップ的読書感想文 smooth |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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I 収入が増えない時代の幸せとお金の研究序説 | p.21 | 19分 | |
II 「普通の生活」でもどんどんお金が減っていく理由 | p.53 | 37分 | |
III 地位財・非地位財でわかる幸せのコスパ | p.115 | 29分 | |
IV 「平均以下」が私たちを幸せにする? | p.163 | 21分 | |
V 今、問われている納税者としての金銭感覚 | p.197 | 19分 |
国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究 (下) [Amazonへ] |