IoTの普及によって、これからはモノとしてのハードウェアは、すべてソフトウェアの入れ物となる。今後、ビジネスは成果型のサービスへと移行すると予測し、企業がデジタル化に対応するための処方箋を紹介している一冊。
■IIoTにより、単なる製品販売は成果型のサービスへ移行する
デジタル技術の普及によって、社会全体で大規模なネットワーク化が進んでいる。それに合わせて、全世界のGDPの2/3を占める製造業にも破壊と変革の波が押し寄せ、大きな影響を受けている。近い内に、工業製品の生産や事業の運営は、スマート化した、個々のプロセスが密接に連携する、データ主導のオペレーションが主流となる。この変化は、全ての先進市場と新興市場の大半で起きるだろう。
世の中は、モノのインターネット(IoT)という大きな流れに乗っている。その中の1つである、産業用モノのインターネット(IIoT)は、工場、生産物、労働者、さらに企業内の機能や運用プロセスなどをデジタル制御することで、多くの潜在的価値を生み出す。
わずか数年の内に、私達は21世紀の最初の20年が「製品の終わり」であったと認識するようになるだろう。進化したデジタル技術が切り開く新たな世界では、消費者は単に物理的な製品を購入するのではなく、ハードウェアとそれに付随するデジタルサービスによってもたらされる「成果」を求めるようになる。
まもなく、私達がこれまで長く慣れ親しんできた、モノとしての製品は、ソフトウェアの入れ物に変わる。そして価値の源泉は、モノ自体から、それが提供するサービスの方に移っていく。
これによってビジネスにおける製品の扱い方も大きく変わる。個々の企業はエコシステムの一部として機能するようになり、これまでには考えられなかった相手と協調する時代がやってくる。
IIoTを活用するための基礎として企業が備えるべき、「失敗を防ぐ」ための必須能力は以下の6つである。
①ライフサイクルを同期させる
②ソフトウェア・インテリジェンスとコネクティビティを組み込む
③生産設備を俊敏性の高いものに変える
④経営判断にアナリティクスを取り入れる
⑤XaaSビジネスモデルへの移行を進める
⑥エコシステムを創造し、動かす
著者 エリック・シェイファー
アクセンチュア・シニアマネジング・ディレクター 製造業のデジタル活用を支援する同社の「デジタル・インダストリーX.0プログラム」を主導する。また、同社がグローバル展開する「アクセンチュア・プロダクト・ライフサイクル・サービス」(バリューチェーン全体にわたって、製品データから価値と効率を引き出すエンドツーエンド・サービス)のリーダーとしても活動する。
帯 産業革新機構CEO 志賀 俊之 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
イントロダクション | p.22 | 9分 | |
第1章 現在進行中の製造業のデジタル革命は今後さらに加速する | p.38 | 17分 | |
第2章 IIoT はどのようにして成果型エコノミーをもたらすか | p.63 | 19分 | |
第3章 デジタルが生み出す巨大な価値―デジタル戦略の道しるべ | p.91 | 20分 | |
第4章 「失敗を防ぐ」ための六つの必須能力──デジタル化へのシンプルな道のり | p.122 | 18分 | |
第5章 データ分析を活用する方法 | p.149 | 24分 | |
第6章 デジタル化製品の開発をどう進めるか | p.184 | 27分 | |
第7章 コネクテッド・ワークフォースを準備する | p.224 | 20分 | |
第8章 新しい世界でのイノベーションの起こし方 | p.254 | 22分 | |
第9章 プラットフォームとエコシステムを最大限活用する | p.286 | 25分 | |
第10章 未来のビジョン──デジタル化したものづくり企業 | p.324 | 12分 | |
第11章 インダストリーX・0の世界観と日本企業への提言 | p.341 | 22分 |
モノのインターネット、Internet of Thingsの略。様々な「モノ(物)」がインターネット…