ソニーの元社長である著者が、これまでの経験を語りながら、人生の迷いを超えるためのアドバイスを書いた一冊。
■Whatを追求せよ
モノづくりが経済成長の源泉で、多くの消費者に豊かさをもたらしてきた時代の「モノ」と、生活必需品が一通り行き渡り、次第にモノ離れの兆しが出てきつつある時代の「モノ」とでは、自ずと価値は異なる。かつてのモノづくり時代には、消費者の欲しがるモノは明瞭であったから、メーカーは何を作るべきかの「Know What」よりも、それをどのように作るかの「Know How」の方を優先させていった。つまり、どこよりもいいモノを、どこよりも安く、きちんと期日通りにお客様にお届けできるかどうかが競争のポイントであった。
その「モノづくり」という概念が大きく変化しようとしている。モノづくりは何らかの価値を生み出す重要な活動であることは変わらないが、物理的なモノの価値から、概念的なコトの価値に重きを置く「コトづくり」の時代になった。モノが氾濫している今日、未来社会では不要となるものがある。何が有用で何が不要かの吟味は中長期的視点からも重要である。その上で、未来社会で新たに必要なモノとは何(What)かを知らなければならない。新しいモノづくりでは改めて「Know What」の重要性が意味を持つ。
誰でも壮年期と言われる年代になると、それまで元気だった親が次第に老いていき、子供がいれば、その教育も大事な時期を迎える。そして自分たちはというと、将来が見えないまま目前の仕事に追われている。壮年期になると、これら3世代の不安が同時にやってくる。このような「多重不安」に遭遇すれば、たいていの人はパニックに陥る。その時、心に留めて置いて欲しいことは、苦しい「今」は続かないということだ。
著者 中鉢 良治
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 理事長 1977年大学院修了後、ソニー入社。1999年、執行役員、2004年、執行役副社長、2005年、取締役代表執行役社長に就任、2009年、取締役代表執行役副会長。 2013年、産業技術総合研究所にて現職に就く。
帯 一橋大学名誉教授 野中 郁次郎 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
まえがき | p.3 | 2分 | |
序 章 天命を知って人事を尽くす | p.11 | 6分 | |
第1章 “What"を追求せよ | p.23 | 26分 | |
第2章 組織に「揺らぎ」を与えよう | p.73 | 29分 | |
第3章 覚悟ある決断を下しているか | p.129 | 25分 | |
第4章 中央と地方、世界と日本 | p.177 | 23分 | |
第5章 文理共創の考えを持とう | p.221 | 27分 | |
終 章 苦しい「今」は続かない | p.273 | 5分 | |
あとがき | p.283 | 2分 |
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