ゲノム解析サービスを展開する起業家が、生命科学の進歩と現状、課題について紹介している一冊。
■生命科学はテクノロジーによって進歩し続ける
生命科学とは「生命に共通の法則性を解き明かし、それを活用する学問」である。生命科学が誕生したのは、20世紀後半。きっかけとなったのは、1953年のDNAの2重らせん構造モデルの提唱である。DNAとは、細胞の中に含まれている名称で、遺伝子を司る実体のこと。遺伝子という実体のない情報を、DNAという「もの」として扱うことが可能になったことで、生命科学は飛躍的に発展してきた。
生命科学は、個別の事象の観察がメインであった生物学に、もの作りや応用開発を行うテクノロジーが加わった、常に進歩する学問という特徴がある。テクノロジーの要素を含む生命科学は、いつか世界を大きく変えるはずである。
テクノロジーは、登場して試行錯誤することで加速度的に発展する。社会や私たちの理解が緩やかに進むのに対して、テクノロジーはそれ以上のスピードで発展し、その差は広がる一方である。
テクノロジーが発展するからこそ、現時点のテクノロジーの性能だけで判断するのは誤っている。テクノロジーが十分に発展した未来を想定して考えることが必要である。
生命科学のテクノロジーは、かつてないほどの急激なスピードで発展している。その歴史を把握し、未来を描きながら議論することは大切なことである。テクノロジーの発展を加味して、将来を考えなければ、せっかくのテクノロジーを未来で有効活用できなくなってしまう。
著者 高橋 祥子
1988年生まれ。ジーンクエスト 代表取締役 2013年、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程在籍中に株式会社ジーンクエストを設立。生活習慣病など疾患のリスクや体質の特徴など約300項目におよぶ遺伝子を調べ、病気や形質に関係する遺伝子をチェックできるベンチャービジネスを展開。 同社は、第10回日本バイオベンチャー大賞日本ベンチャー学会賞や、10年後に世界を変えるビジョンとテクノロジーを持った企業に贈られる「リアルテックベンチャー・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。
帯 ライブドア元代表取締役 堀江 貴文 |
週刊東洋経済 2017年11/4号 [雑誌](ゼロから分かる ビットコイン) |
週刊ダイヤモンド 2017年11/18号 [雑誌] (右派×左派 ねじれで読み解く企業・経済・政治・大学) 三省堂書店岐阜店店長 渡邉 大介 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 10分 | |
第1章 テクノロジーが生物学を変えた | p.29 | 19分 | |
第2章 ゲノム解析はデータ収集から始まる | p.67 | 24分 | |
第3章 「私」のすべてがデータ化されていく | p.115 | 23分 | |
第4章 生命科学のテクノロジーが「私」の理解を超えるとき | p.161 | 18分 | |
第5章 生命科学の「流れ」を知れば「私」の世界と未来が見える | p.197 | 14分 | |
おわりに | p.226 | 3分 |