体力、気合、根性に象徴される体育会系カルチャーのもと、社員は疲弊し、長時間労働やハラスメントなど労務問題が常態化していたアクセンチュアはどのように組織を改革したのか。
残業時間や離職率を大幅に減らすことに成功したアクセンチュアの「働き方改革」の取り組みが紹介されています。
■方向性をはっきりさせる
体力、気合、根性などの言葉に象徴される旧態依然とした「体育会的な」カルチャーのもとでは、多様な人材が活躍するダイバーシティは実現しにくく、働き方も変えられない。働く環境に魅力がない会社では、優秀な人材を採用することなど難しい。
会社を変える時、何よりも重要なことは、方向性をはっきりさせておくことである。そして、それを社員たちと共有する。どこに連れていくのかをしっかり理解してもらう。そのためにも、なりたい姿をしっかり描いておく必要がある。
「働きがいのある会社」、そして世の中から認められ、「選ばれる会社」になるという方向性を決め、『プロジェクト・プライド』を発足させた。改革にあたって、社員1人1人が持っている「プロフェッショナルとしての誇り」をもう一度定義し直して欲しいという思いがあった。長時間働いて、多くの社員が疲弊しながらお客様に価値を提供することが、本当の誇りなのか。
働き方を変えるための組織改革のフレームワーク
①方向性掲示と効果測定
・方針を定め、コミュニケーション
・なりたい姿の設定と測定指標の確定
・測定指標のモニタリング
②リーダーのコミットメント
・本部長が改革に責任を持って実施
・現場リーダーがコミットメント
・課題と解決に向けた障壁を特定して対処
③仕組み化・テクノロジー活用
・既存の制度の浸透/強化
・新制度の制定
・ツール整備
④文化・風土の定着化
・態度変容を促すための継続的な情報の発信
・イベントキャンペーンの実施
著者 江川 昌史
アクセンチュア 代表取締役社長 1989年アクセンチュアに入社。製造・流通業界を中心としつつ、通信、ハイテク、素材・エネルギー、金融業界や公共サービス領域など、多岐にわたるプロジェクトを指揮。主に、戦略立案、構造改革、新規事業立ち上げ、デジタル変革、大規模アウトソーシングプロジェクトなど、さまざまな領域の案件を主導した。 2000年にパートナー就任。消費財業界向け事業の日本統括を歴任し、2008年10月に執行役員〔製造・流通本部統括本部長〕に就任。 2014年に取締役副社長就任、2015年に現職である代表取締役社長に就任。経済同友会会員。
帯 ジャーナリスト 白河 桃子 |
週刊ダイヤモンド 2017年 9/30 号 [雑誌] (孫正義が知らないソフトバンク) 三省堂書店有楽町店主任 岡崎 史子 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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Chapter1 現状把握から“なりたい姿”を定義する | p.11 | 10分 | |
Chapter2 改革までのロードマップと体制づくり | p.29 | 9分 | |
Chapter3 『プロジェクト・プライド』本格始動! | p.45 | 12分 | |
Chapter4 「制度」と「意識」の両輪で働きかける | p.65 | 41分 | |
Chapter5 働き方改革で次なる成長ステージへ | p.137 | 11分 |