デジタルを駆使する消費者の特徴
液状消費者の典型的な特徴は次の通り。
①期待はつかみどころがなく移り気である
②ブランドに忠実ではない
③消費財やファッション・アイテムに対して衝動的である
④多くの個人情報を快く提供する
⑤買い物をそれだけの活動として捉えていない
⑥デジタル技術を使った買い物に慣れている
⑦マルチタスクで物事を進める
⑧多くの顔を持ち、様々な活動に合わせて使い分け、つかみどころがない
体験か利便性か
液状消費者を効率的に理解し、今もこれからも彼らの要求を満たしたり、上回ったりするためには、消費財メーカーはデジタル技術を利用しなければならない。リアルタイムデータやユーザー・コミュニティが持つ力を利用すべきである。
その上で「自社のブランド・プロミスとは何か」という基本的な問いから始める必要がある。今日では製品の基本的な性質も依然として重要ではあるものの、製品が持つ背景・思想や得られる体験・価値にまで踏み込んだコンテキストやストーリーへの満足度が大切になっている。今日のブランド・プロミスには製品を見つけ、比較・選択・購入し、受け取るのが容易であることや、企業が消費者の欲求をどの程度満たしているのか、さらには製品が消費者の使う他の製品・サービスといかにぴったり合うかも含まれている。デジタル技術は「製品」の概念を広げたのだ。
そのため、デジタル時代にブランド・プロミスを果たすというのは、製品そのものの質の高さと、すぐに消費者に届けるための迅速な配送を組み合わせる、消費者が付加価値を得られるように生産者と交流する方法を提供する、消費者を同じブランドの他のユーザーと結びつける、その他の特徴やサービスを融合することだと言える。
体験や利便性といった概念は、ブランド・プロミスのランドスケープを定義する。デジタル時代には体験(デジタル技術によって製品・サービスを手に入れるまでのカスタマー・ジャーニーが改善され、消費者に合わせたものになる)から利便性(デジタル技術によって特定の製品・サービスの利用や消費の効率が上がる)までのスペクトラムのどこかに、ブランド・プロミスをうまく配置することが鍵になる。
注意すべきは、体験-利便性スペクトラム上の「正しい」位置がそれぞれのブランドによって異なり、どの位置でも、ブランド独自の試みによって強みが生まれる点だ。
体験-利便性スペクトラム上のポジショニンを最大限に活かすためには、プラットフォームという考え方を養うのが重要である。どのように製品・サービスと消費者のコミュニティを作るかを考え、実行することにより、ブランド、その顧客である消費者、さらにはコミュニティ参加者に対して多大な価値を提供できるようになる。