情報が溢れるデジタル時代にあって、移り気な消費者を捉えるのはどうすればいいのか。利便性と体験という2つのキーワードが、消費者に対して提供すべき付加価値であると説き、どのように戦略を立てるべきかを紹介しています。
■液体のような消費者
急速なデジタル技術の進化は、様々な消費財製品やその関連サービスに囲まれた気まぐれな消費者を生み出した。彼らは移り気で、つかみどころがなく、すぐに離れていってしまうかと思えば、知らぬ間に近くにいる。形を変えながらどんな場所にも臨機応変に入り込む「液体」のような特徴を持つ彼らを「液状消費者」と呼ぶ。こうした消費者は、瞬時ともいえる速さで製品の新しい特質やデジタル技術による改良点を受け入れ、それに順応し、期待を高める。そのため消費財メーカーの意思決定者は、常に遅れを取っているという不安を抱かされる。
遅れを取らないようにするには、液状消費者を客観的に分析した上で、彼らを念頭に置いたブランド構築に向けて、明確で意図的な取り組みを実行していく必要がある。そのプロセスは、次の重要な問いに答えることから始まる。「体験と利便性のどちらを追求すれば、ブランドをより強化できるのか」
今日のブランド・プロミスには製品を見つけ、比較・選択・購入し、受け取るのが容易であることや、企業が消費者の欲求をどの程度満たしているのか、さらには製品が消費者の使う他の製品・サービスといかにぴったり合うかも含まれている。
デジタル時代には体験から利便性までのスペクトラムのどこかに、ブランド・プロミスをうまく配置することが鍵になる。
著者 テオ・コレイア
アクセンチュア シニア・マネジング・ディレクター 消費財・サービス業のジャンルに30年近い実績があり、とくにデジタル戦略および組織改革を得意とする。スタートアップ企業や起業家に向けたデジタル戦略プログラムの開発なども手がけている。
帯 アサヒグループホールディングス 代表取締役 泉谷 直木 |
帯2 ミズノ 代表取締役 水野 明人 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.17 | 3分 | |
第1章 体験か利便性か――「液状消費者」を満足させるための道筋 | p.25 | 13分 | |
第2章 効果的なプラットフォームの構築 | p.49 | 12分 | |
第3章 デジタルを利用したカスタマー・ジャーニーを考える | p.71 | 12分 | |
第4章 売り手と作り手があいまいな世界でつながりを築く | p.93 | 17分 | |
第5章 液状消費者と対峙するための備え | p.127 | 21分 | |
第6章 断片化された新興市場から得られる示唆 | p.165 | 9分 | |
第7章 2つのエンジンでイノベーションを起こす | p.181 | 10分 | |
第8章 「ニュー・ノーマル」なマーケティングのフレームワークづくり | p.199 | 9分 | |
未来へのエピローグ――20年後の液状消費者へのサービス | p.215 | 6分 |