「早く帰れ」だけでは、労働時間は減らない。効果的に労働時間を減らしながら、生産性を向上させている企業の事例をあげながら、働き方改革を実践するための方法を紹介している一冊。
■「評価と報酬」を変えなければならない
働き方改革を、ただの時短、労働時間削減、効率化、生産性向上、テレワークやAIなどのIT投資など、矮小化してとらえては失敗する。それはツールであり、プロセスである。本気の「経営戦略としての働き方改革」に取り組まないと、かえって労働問題のリスクが起きたり、人材が逃げたり、売上が落ちることもある。本気の働き方改革を推進する企業は、以下のような評価と報酬の設計に手をつけている。
・時間に依存しない評価・完全アウトプット評価に移行
・自己研鑽に補助金・資格取得にポイントがつき、定年後給与に反映
・削減した残業代を生産性の高いチームにボーナスで還元
・給与テーブルを廃止し、市場価値を評価基準に
・チーム全員が設定労働時間内におさまっていることを表彰
「対症療法」で乗り切ろうとすると働き方改革は失敗する。経営者の本気度は「評価と報酬」にまで手をつけるかどうかで決まる。
働き方改革を、ただの時短、残業代削減、業務効率化、生産性向上、テレワークやAIなどのIT投資と矮小化して、とらえてはいけない。それらはツールであり、プロセスである。その結果、企業の抱える課題が解決できなければ意味がない。「利益が上がる」「イノベーションが起きる」「社員が幸せになる」などの、もっと先の果実を目指すもののはずだ。制度を整える見せかけの改革ではなく、本気の「経営戦略としての働き方改革」に取り組まないと、最悪のシナリオとなる。
著者 白河 桃子
1961年生まれ。相模女子大学客員教授 少子化ジャーナリスト 住友商事、外資系金融などを経て著述業に。 山田昌弘中央大学教授との共著『婚活時代』で婚活ブームを起こす。 少子化対策、女性のキャリア・ライフデザイン、女性活躍推進、ダイバーシティ、働き方改革などをテーマに著作、講演活動を行なう一方、「働き方改革実現会議」「新たな少子化社会対策大綱策定のための検討会」などの委員として政府の政策策定に参画。
帯 サイボウズ 代表取締役 青野 慶久 |
帯2 ワーク・ライフバランス社長 小室 淑恵 |
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
PRESIDENT (プレジデント) 2017年9/4号(実家の大々問題) |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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序 章 働き方改革の何が問題なのか | p.15 | 12分 | |
第1章 働き方改革はどうすれば成功するのか | p.37 | 16分 | |
第2章 先端事例に「働き方改革」の実際を学ぶ | p.67 | 32分 | |
第3章 現場から働き方をこう変える! | p.127 | 17分 | |
第4章 なぜ「実力主義」の職場はこれから破綻するのか | p.158 | 15分 | |
第5章 「女性に優しい働き方」は失敗する運命にある | p.185 | 24分 | |
第6章 社会課題としての長時間労働 | p.229 | 12分 | |
第7章 実録・残業上限の衝撃 「働き方改革実現会議」で目にした上限規制までの道のり | p.251 | 9分 |