AIが進化した未来はどうなるのか。人間とは何か、人間が信じてきた神とは何かを考察し、今後人間がどのようにAIに向かい合うべきかを提示する一冊。
■シンギュラリティーに向かうAI
AI技術は、「ひらめき」や「意志」や「目的意識を持った戦略的思考」の分野まで踏み込み、人間の頭脳の働きのほとんどを複製、拡大できるものになると見られている。AIの能力が飛躍的に拡大すると、あらゆる分野で膨大な量の仮説が次々に生み出され、次々に検証され、さらに相互に関連付けられていく。こうなると、人類の「集合知」は、人類のこれまでの推測をはるかに上回るものになっていく。
しかも、当初は人間がプログラムした検索や推論の方法も、AIは次々に自力で改善していくので、AIが「より優れたAI」を自ら作り出し、そのAIがさらに「その次の世代のAI」を作り出していくという「加速度発展」が無限に続き、現在の我々には全く想像もできない世界が到来する可能性がある。
このシンギュラリティーの時代は、今から30年先とか、40年先とかいった「思いがけずに早い時期」に到来するかもしれない。
シンギュラリティーに到達した究極のAIは、人間の頭脳のほとんどすべての機能を複製した上、その能力を想像を絶するレベルまで拡大して、この世界での人類のあり方を根本的に変える。かつての産業革命がもたらした人間社会の変化などは、これに比べれば全くとるに足らないものになる。
シンギュラリティーに到達したAIは、人間にとって「下僕」にも「神」にもなり得るが、間違えば「悪魔」にもなる。人間が、自分たちの存在をどう考え、どのようにAIと向かい合うかが、それを決める。ここで必要になるのが、AIの開発者と利用者が持つべき「哲学」である。自ら哲学しなければ、人間は、強大なAIの前で、単なる「風にそよぐだけの葦」になってしまう。私たち人間は、決してAIから逃げてはならない。1日も早く「正しい心を持った人たち」が、考えに考え抜き、その手で「正しい心を持ったAI」を作り上げることが必要である。
シンギュラリティーに到達したAIが作り出す未来については、悲観的ではなく、プラス面をマイナス面よりも多く見ている。プラス面を生かそうと試みる人がいなくなればマイナス面だけが残り、そのマイナス面を封じ込める能力を持ったの人は、どこにもいなくなってしまう。どんな科学技術でも、それから逃げてはいけない。そうすれば、どこかの悪い意図を持った人たちが、その技術を独占してしまうことになるからである。
著者 松本 徹三
1939年生まれ。ジャパン・リンク 代表取締役社長 ソフトバンク シニア・アドバイザー。 伊藤忠(米国会社SVP、東京本社通信事業部長等)、クアルコム(日本法人社長、米国本社SVP)、ソフトバンクモバイル(取締役副社長)等で55年にわたり第一線の仕事をこなし、現在もなお、コンサルタントとして世界を舞台に活躍中。
帯 前グーグル日本法人代表取締役 村上 憲郎 |
帯2 慶應大学特別招聘教授 夏野 剛 |
帯3 明治大学理工学部教授 高木 友博 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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第一章 シンギュラリティーに向かうAI | p.1 | 39分 | |
第二章 人間と「神」 | p.57 | 37分 | |
第三章 すべての「人間的なもの」 | p.111 | 37分 | |
第四章 AIと向き合う哲学 | p.165 | 45分 | |
おわりに | p.231 | 1分 |
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