相手の成長を促す言葉で話しかける
「成長言葉」に効果があるのは、部下や教え子は仕事の成功や失敗よりもはるかに、リーダーの言葉によってモチベーションが激しく上下するからである。うまくいかないと悩んでいるリーダーは例外なく、ここを見落としている。
優しげな言葉では効果が出ないからこそ、「成長言葉」が大きな威力を発揮する。言葉を使うポイントは大きく分けて「褒める時」と「叱る時」。状況にあった「成長言葉」を使えば、必ず相手の心を動かすことができる。
一体一で向き合い、成長言葉を探す
成長言葉の方向性は「自信を与える言葉」と「道を示す言葉」の2種類しかないが、そのバリエーションは無数にある。よって、言葉で人を育てる第一歩は、相手によって使う言葉を変えることである。自分が好んで使いたいと思う「押しつけ言葉」ではなく、相手が好む「成長言葉」で話すよう心がける。
「成長言葉」で人を動かすためには、まずは相手がどんな言葉を好むのかリサーチすればいい。課題を与えた時のリアクションやちょっとした会話の端々から、相手が今どんな言葉を欲しているかを探っていけば自然と「成長言葉」は見えてくる。重要なことは、一対一で向き合うことである。この基本をおそろかにしては「成長言葉」は見つからない。
成長言葉の三原則
部下の成長言葉を見つけるには、次のステップを踏む。
①信頼関係を築く
良好な関係が構築できていないと相手も警戒して、素の自分を見せてくれない。話をする時に目を合わせようとしないのであれば、信頼関係ができていない可能性が高い。
1. 「一対一」で話し、相手が目を合わせるかで分類する
2.目を合わせないグループは経過を観察する
3.改善の兆しが見えなければ個別に話しかけ、経過観察に戻る
②部下が自分をさらけ出しやすい環境をつくる
やる気はあるのに本気を出そうとしないのは、多くの場合「評価」を恐れている。「実力差」よりも「努力差」、つまり頑張る力の方が大事なのだから、全力で仕事に取り組んで、どれだけ頑張れるかを見せて欲しいと、しっかり伝える。
③観察する
観察のポイントはただ一点、相手の状態が「いい感じ」か「悪い感じ」かを見るだけでいい。「いい感じ」だった時の対処法は、褒めて波に乗せるか、くぎを刺すか2通りしかない。
部下の状態が「悪い感じ」になっている時には、その原因を探る。ほとんどの場合、原因は「体調」「プライベート」「自信がない」「やる気がない」「ある種の自己主張」のいずれか。軽い会話を持ちかけて、その反応から「消去法」で絞り込んでいく。