人工知能によって、人間の仕事が失われるとも言われる未来において、我々はどのような生き方をすればいいのか。人の能力がコモディティ化していく時代に、考えるべき生存戦略について書かれた一冊。
■人対人の構図は変わらない
機械の管理によって人が働かなくても済むような明るいディストピアは願ってもやってこない。むしろ今より悪くなった日常が続くだけだ。持たざるローカルに所属する人々が2040年代の世界をぼんやり想像しながら過ごす余裕はない。機械との親和性を高めコストとして排除されないようにうまく働くか、機会を使いこなした上で他の人間から職を奪うしかない。この構図は機械対人間ではなく、「人間」と「機械親和性の高い人間」との戦いに他ならない。
ここには「クリエイティブなことをして過ごす」というあやふやな結論は存在しない。計算機親和性を上げて他の人間よりも多くを成すことしかできることはない。それは、機械を使う側になるか、機械に組み込まれる側になるかの問題であり、機械に対抗する側はニッチなエンターテインメントかニッチな商品にしかなりえない。今のような機械が人と同様に自律的に社会に参画する時代より前に考えなければならないのは、人対人の終わらない争いだ。
コモディティ化はコンピュータによって加速するし、その速度が昔のコモディティ化の速度と全く異なってきている。そうした中で技術を追いかけ続けることができないといけないが、それが当たり前のようにできていない。こうしたことはあらゆる分野で起こってくるだろう。
このような中では、全員が違う方向にキャラクターを持っていないとコモディティ化が避けられない。
著者 落合 陽一
1987年生まれ。筑波大学 学長補佐・准教授 デジタルネイチャー推進戦略研究基盤基盤長 大阪芸術大学 客員教授 デジタルハリウッド大学 客員教授 ピクシーダストテクノロジーズ CEO メディアアーティスト 筑波大でメディア芸術を学んだ後、東京大学を短縮修了して博士号を取得。2015年筑波大学助教、デジタルネイチャー研究室主宰。2017年、筑波大学 図書館情報メディア系 准教授に就任。 経産省よりIPA認定スーパークリエータ、総務省より異能vationに選ばれた。 研究論文はSIGGRAPHなどのCS分野の最難関会議・論文誌に採録された。作品はArs Electronica、SIGGRAPH Art Galleryを始めとして様々な場所で展示され、Leonardo誌の表紙を飾った。 応用物理、計算機科学、アートコンテクストを融合させた作品制作・研究に従事している。BBC、CNN、Discovery、TEDxTokyoなどメディア出演多数。国内外の論文賞やアートコンペ、デザイン賞など受賞歴多数。
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
PRESIDENT (プレジデント) 2017年7/3号(「書き方」のお手本) 東京大学大学院経済学研究科教授 柳川 範之 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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プロローグ | p.12 | 9分 | |
第1章 超AI時代の「生き方」 | p.29 | 27分 | |
第2章 超AI時代の「働き方」 | p.79 | 32分 | |
第3章 超AI時代の「生活習慣」 | p.139 | 17分 | |
エピローグ | p.170 | 15分 |