無意識の内にブランドに対する印象決まる
直感や本能というのは、無意識の感情が私たちをより良い決断へとひそかに動かす働きを指す。こうした私たちの意思決定に日々影響を与えているものを「ソマティック・マーカー」と呼ぶ。「ソマティック」とは体に関係するという意味で、体の変化として生じる感情を指す。手のひらが汗ばむ、心拍数が上がる、胃がキリキリするなど、感情と結びついて体に感じる変化である。「マーカー」とは、感情がある刺激と結びつくことを表す。私たちがあらゆるブランド経験に肯定的あるいは否定的な色をつけると、無意識はその経験を裏付けとして保存し、そのブランドに対するソマティック・マーカーや直感を作り上げる。
ブランドのソマティック・マーカーは、広告などのブランド・コミュニケーションを通じて作られるだけではない。消費者がブランドと何らかの形で関わるたびに、1つ1つ作られる。競合相手や自分のブランドとは関係ない連想からも作られる。
独自のかっこよさを見つけよ
どんな業種であっても、人が商品やサービスを選ぶのは、その一員となりたいと思うようなものを体現しているからだ。そこにはその商品カテゴリーに求めるかっこよさがある。そこで鍵となるのは、独自のかっこよさを見つけ、それを作り出して維持するためにあらゆる努力をすることだ。
購買決定にとって重要な感情はソマティック・マーカー、つまりブランド全般に対して抱く印象だと認識すべきである。それはブランドに関する小さな連想すべての総和なのだ。こうした印象を作り出す方法はいくらでもある。
ブランド・ファンタジー・モデル
様々な連想を積み上げる前に、まずは自分でブランドを感じる必要がある。ブランドの核心を徹底的に肌で知る必要がある。心の中にブランドの印象が出来上がったら、それを形にする。自分が引き出した豊かな印象を紙の上に捉え、共有し、それを発展させていく。大切なのは、ブランドに触れた人が誰でも理解できる方法、創造的なマーケティングやブランディング素材を引き出せるような方法で、ブランドの印象を捉えることだ。
①コア・ワード
ブランドの印象やファンタジー、エッセンスをつかむきっかけとなる3〜5個の単語を見つける
②ファンタジー・ネットワーク
ブランドの鍵となる連想ネットワークを「マインドマップ」にまとめる
③多元的なムードボード
イメージやメタファーを使ってファンタジーに息を吹き込む抽象的な説明を考える
④トリガー
豊かなファンタジーの残りすべてを引き出す略語か短いフレーズを1つ考える
ブランド・ファンタジーを構築する時には、それが「消費者(ターゲット)」「商業(市場)」「文化(動向)」に一致しているか確認する。