システム開発など、遅延が発生するプロジェクトはどのようにマネジメントすれば良いか。プロジェクトを遅延させないための、マネジメント手法を解説している一冊。
■ITプロジェクトの課題
調査では、ITプロジェクトの内71%が納期遅延や品質上の問題を抱えており、その内19%が中止に追い込まれている。現在もその状況は変わっておらず、ITプロジェクトの失敗や頓挫は、事態の収拾に要した費用のみならず、ビジネス上の機会損失、市場における競争優位の低下など、多大な影響を及ぼす。
プロジェクトマネージャーは、とにかくメンバーのモチベーションを上げ、困難な状況の中でも頑張ることで、何とかITプロジェクトを完遂させようと努める。またメンバーもそれに応えるように残業や休日出勤を繰り返し、休む暇もなく作業を続ける。このような過酷な状況は「デスマーチ」と呼ばれ、特に1990年代半ば頃から社会問題の1つとして採り上げられるようになった。デスマーチに陥る原因は「頑張る」という精神論以外にITプロジェクトを完了させるための手立てを見出していなかったことにある。しかし、精神論だけでは、デスマーチを根本から打開する対策にはならない。
ITプロジェクトの問題の解消には「CCPM理論」が有効である。その特徴は以下の通りである。
①マルチタスクを排除する
②クリティカルチェーンによってマネジメントする
③個々のタスクからバッファを取り出す
④バッファの消費状況で、プロジェクトを管理する
⑤万全の準備を整えてから、タスクに取り掛かる
著者 宮田 一雄
1954年生まれ。富士通 執行役員常務 大学卒業後、1977年に富士通入社。現場でのエンジニア経験を経て2004年より経営陣の一人となる。プロマネとして苦労した経験から、プロジェクトマネジメントの本質を模索しCCPM理論にたどり着く。
帯 一橋大学名誉教授 野中 郁次郎 |
帯2 Goldratt Consulting Japan CEO 岸良 裕司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.1 | 3分 | |
第1章 ITプロジェクトの問題と、CCPM理論 | p.15 | 16分 | |
第2章 CCPM成功事例二五%の工期短縮はこうして実現した | p.41 | 43分 | |
第3章 「和」のプロジェクトマネジメント理論 | p.111 | 11分 | |
第4章 さまざまなプロジェクトに貢献するCCPM理論 | p.129 | 22分 | |
第5章 CCPM理論の副産物~前代未聞の成功を受けて | p.165 | 15分 |