シンガポールに進出し、イノベーションを創出することによって、ASEANや世界市場を狙う日本企業16社の取り組みを紹介している一冊。
■イノベーションの実験場
都市国家シンガポールがこれまでやってきたことといえば、先進技術を持つ企業と、優秀な人材を世界中から呼び寄せたということに尽きる。自国になければ海外から持ってくる。そうすることで国内に雇用が生まれ、優秀な人材が育つ。この明快な図式を50年も前から実直に粘り強く続けてきた。その時代その時代のシンガポールの国情に合った産業戦略を立て、海外企業を誘致してきた。そして2000年代、シンガポールが大きく飛躍したのは、国まるごと「イノベーションの実験場」にする戦略を打ち出したからだ。
シンガポールが提供する「実験場」は、事業用スペースや資金、法規制、海外赴任者の居住環境の整備といったハード面、制度面だけではない。売りにしたのは「情報」と「人」と「サービス」だ。アイデアや要素技術を「実証」し、スピーディに「事業化」するためのエコシステムをつくり上げていった。そして今や、シリコンバレーに比肩して語られるほどの「先端ビジネスの発信地」になった。
シンガポール政府は、自らが描く「都市の未来図」を実現するための技術と担い手を世界中から募り、プロジェクトを次々に立ち上げて実際に作り上げていく。国の規模は小さいが、世界のショールームを目指すことで、自国の価値を高めていく戦略を取り続けてきた。それがシンガポールの経済成長を支える原動力になっている。
著者 日経BP社
日本経済新聞社の100%子会社。日経ビジネスなどの経営誌、日経トレンディなど生活情報誌に加え、日経アーキテクチュア、日経エレクトロニクス、日経コンピュータ、日経メディカルなど30を超える技術系の専門誌を発行。
帯 慶應義塾大学名誉教授 竹中 平蔵 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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はじめに | p.3 | 2分 | |
第1章 なぜ、世界企業はシンガポールを目指すのか | p.13 | 10分 | |
第2章 「スマート国家」シンガポールと協業する日本企業 | p.29 | 8分 | |
第3章 シンガポール発・世界ビジネスに挑む日本企業16 | p.41 | 128分 |