「進化」のメカニズムを説き明かす初学者向けの講義を編集された一冊。世界的な生物学者が、生物はどのように進化してきたのかをわかりやすく紹介しています。
■エリートだけが祖先になれる
生殖は比較的簡単だが、祖先になるためには、何代にもわたって連綿と続く子孫を持たなければならない。これはかなり難しい注文である。細菌は50世代分の繁殖を繰り返すと1000兆になる。細菌にとって50世代はわずか1日でクリアしてしまう。これが指数関数的な増殖というものである。しかし実際にはここまで急激な増殖は起こらない。ある臨界点を過ぎると、細菌の数は別の自然要因によって制御されてしまうからである。
同じようにゾウや人間が、宇宙に溢れかえらないのは、生まれた生命体のほとんどが、遠い祖先にならずして死んでしまうからである。ほんのわずかなエリートだけが祖先になれる。我々が今まで生き残ってきたのは、これまでずっと成功し続けてきた祖先たちの遺伝子を通じて、祖先として成功し続けるために必要だった要素をすべて受け継いでいるからである。
進化の重要なポイントは、「不可能な山」を何の奇跡も必要とせずに登るというところである。
著者 リチャード・ドーキンス
1941年生まれ。進化生物学者・動物行動学者 カリフォルニア大学バークレー校を経てオックスフォード大学レクチャラー。動物行動研究グループのリーダーの1人として活躍。著書の『利己的な遺伝子』で名を学界の内外にまで知らしめる。
帯 京都大学教授 鎌田 浩毅 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
第1章 宇宙で目を覚ます | p.25 | 23分 | |
第2章 デザインされた物と「デザイノイド」(デザインされたように見える)物体 | p.59 | 29分 | |
第3章 「不可能な山」に登る | p.101 | 29分 | |
第4章 紫外線の庭 | p.143 | 24分 | |
第5章 「目的」の創造 | p.179 | 23分 | |
第6章 真実を大事にする―吉成真由美インタビュー | p.213 | 33分 |