消費しても幸せにはなれない
いくら消費しても「満足して幸せになれる」という約束は絶対に果たされない。過剰な消費は、むしろ私たちから自由を奪い、さらに物欲を刺激するだけだ。買わなければという焦りが重荷になり、そして後に残るのは後悔だけだ。本当に大切なものが見えなくなってしまう。
だが、消費の誘惑に勝ったからといって、それだけで幸せになれるわけではない。物欲をなくすだけでは、そこにただ何もない空間ができるだけだ。大切なのは、その空間を何で埋めるかということだ。
ものを減らして自由になる
理想の人生を手に入れるのは、全てを捨てることとは違う。または、何も手放さず、永遠に整理整頓を繰り返すことでもない。大切なのは、自由になれたと実感できるレベルまで、所有物を減らすことだ。
この考え方は、何千年も前から存在する。現在の大量生産・大量消費の社会よりも、郊外化よりも、さらには産業革命よりもはるかに昔のことだ。経済の状態にかかわらず、ミニマリズムは常に存在し、好ましい生き方として推奨されてきた。少ないもので暮らすのは、いつの時代であっても、自由で豊かな生き方だ。人生に希望と目的意識を与えてくれる。ただものを持つよりも、ずっと心を豊かにしてくれる。
ものに執着していると、本当に豊かな人生からはむしろ遠ざかる。物質欲の重荷から解放されれば、目指しているものには何でもなれる。
自分らしいより少ない生き方を見つける
ミニマリズムを実践する方法は、人によって全く違う。自分のライフスタイルに合った方法で、自分なりのミニマリズムを創造すればいい。自分なりのミニマリズムを決める時、基準にするのは自分の「好み」だけではない。大切なのは、自分の「目的」を基準に決めることだ。まずは、自分にとっての理想の人生について考え、それを実現するのに一番適したミニマリズムのスタイルを考えることだ。
人生の目的がはっきりわかっている人も中にはいる一方で、人生の目的がそこまではっきりわかっていない人もいる。こちらの方が多数派だろう。そういう人たちは、大量に消費する今の生活に何となく不満を抱いて、生き方を変えたいと思っているが、具体的にどうすればいいのかはわからない。そういう人も、とりあえずものを減らすことから始めてみることだ。今すぐにでも手放して構わないものが、必ずいくつか見つかるはずである。不要品を処分するうちに、人生の目的もだんだんと見えてくるだろう。そして目的がはっきりしてきたら、それがさらにミニマリズムを加速させてくれる。
ミニマリズム生活に、自分の目的や価値観を教えてもらおう。そして目的や価値観が決まったら、そこから自分に合ったミニマリズムのスタイルを確立していくのだ。今より手間が増えるのではなく、今より自由になれるのが正しいミニマリズムだ。