フォロワーが、リーダーに求めるものは何か。本物のリーダーになるための必要な要素を提示し、リーダーシップを発揮するために大切なことを紹介している一冊。
■優れたリーダーが求められる時代
多くの企業にとって、組織ミッションの明確化や、社員の帰属意識のてこ入れが喫緊の課題となってきている。その原因は、組織の団結力を維持していた様々な仕組みが弱体化してしまったことにある。かつての組織構造を特徴づけていた、綿密に設計された階層性、安定的なキャリアパス、明瞭だった組織の境界などは、いまや過去のものとなってしまった。
例えば、階層制は、昨今のスピード向上やコスト削減の重圧を受け、大半の企業において以前よりフラットなものとなった。留意すべきは、階層制は「単に組織構造上の仕組みではなく、働く意義の源泉だった」ことが重要である。順調にコツコツとやっていけば15年目には部長補佐や現場監督者になれた、そしてそれで満足することができた。しかし、階層のフラット化が急速に進むにつれて、この観点からは働く意義を見出せなくなった。それゆえに人々はなおさら、リーダーシップを求める。優れたリーダーが、自らに新たな働く意義を示してくれることを願うのだ。
■フォロワーが求めるものとは何か?
①本物であること
フォロワーは、リーダーが何者であるのか、他の人とどのような違いを持つ「人物」であるのかを知りたい。部下は皆、「なぜこの人についていかなければならないのか?」を心底に感じ、それゆえに「自分をひきつけるこの人の特徴は何か?」を考える。自分ならではの特徴を伝えるスキルは、リーダーシップ発揮の基盤にある。
②認めてくれること
フォロワーは皆、自分の貢献に気づいて欲しい。人は誰かに認められたい根源的な欲求を持つ。
③胸の高まりを呼び覚ましてくれること
リーダーシップの根本は、集団をより高いレベルの努力とパフォーマンスに向け駆り立てる点にある。そこでは、単なるルーティンをこなし続ける以上が求められる。優れたリーダーはいかに高揚感を植えつけていくのか。例えば、自分ならではの持ち味を活かすことが1つ。今1つは、部下との距離感をあえて開き、そこに生まれる「緊張感」を利用することだ。部下との距離を巧みに制御し、自らの「得体の知れなさ」を醸すリーダーも多い。その結果、部下はリーダーの存在に神秘性を感じ、高揚感を得る。さらに有効なのは、自らの価値観・ビジョンを打ち出し、その達成に邁進する情熱を示し続けることだ。
④つつみこんでくれること
人は生まれながらにして、他人とのつながり・連帯を求める。何か大きなもの、何らかの集団に属していたいと感じるものだ。
著者 ロブ ゴーフィー
ロンドン・ビジネススクール 名誉教授 組織行動学の専門家。組織コンサルティングを行うクリエイティブ・マネジメント・アソシエーツの共同設立者。論文「共感のリーダーシップ」でマッキンゼー賞(ハーバード・ビジネス・レビュー最優秀論文賞)を受賞。 これまでネスレ、ユニリーバ、LVMH、ロシュ、アラップなど優良企業の幹部社員への研修を行ってきたほか、FTSE100企業へのコンサルティングも行っている。
著者 ガレス ジョーンズIEビジネススクール 客員教授 ロンドン・ビジネススクール経営開発センター フェロー INSEAD 客員教授 組織行動学の専門家。組織コンサルティングを行うクリエイティブ・マネジメント・アソシエーツの共同設立者。BBCやポリグラムで人材育成、組織開発に携わったのち現職。 ロブ・ゴーフィーとともにリーダーシップ育成、組織開発の支援を行っている。
帯 ロンドン・ビジネススクール教授 リンダ・グラットン |
日経ビジネスアソシエ2017年4月号 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
序 章 なぜ、あなたがリーダーなのか | p.19 | 10分 | |
第1章 自分自身に忠実であれ | p.33 | 21分 | |
第2章 自分らしく振る舞え | p.63 | 28分 | |
第3章 リスクに身をゆだねよ | p.103 | 25分 | |
第4章 おかれた状況を感知せよ | p.139 | 26分 | |
第5章 相応に妥協せよ | p.177 | 24分 | |
第6章 距離感を操れ | p.211 | 26分 | |
第7章 組織にリズムを刻め | p.249 | 28分 | |
第8章 部下は何を望むか | p.289 | 13分 | |
第9章 リーダーシップ――その代償と褒賞 | p.307 | 15分 |
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