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2017/01/25更新

続 聞き出す力

  • 吉田 豪
  • 発刊:2016年12月
  • 総ページ数:224P

133分

2P

  • 古典的
  • トレンドの
  • 売れ筋の
  • すぐ使える
  • 学術系
  • 感動する
  • ひらめきを助ける
  • 事例が豊富な

対象読者:

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インタビューはプロレスである

プロレスとは世間からは「どうせ八百長でしょ?」と舐めてかかられたり、ファンもファンで「真剣勝負だよ!」という幻想を持ちすぎたりで正しく理解されることの少ない特殊なジャンルだが、そのどちらでもあるしどちらでもない、微妙なバランスがインタビューに似ている。

実際「どうせこんなの八百長なんだから」とばかりに、何の刺激も面白味もない宣伝インタビューに徹する人もいるし、「真剣勝負なんだから!」とばかりに取材相手にガチを仕掛けにいって本気で怒られる人もいる。でも、いいインタビューとは、緊張感のある攻撃を仕掛けたり、相手のキツい技を受けきったりしつつも、最終的にはどちらにもプラスになるようないい着地点に持っていくものだ。プロレスは、全部決め事だと思ったら、むしろアドリブの要素が強くてガチな展開も普通にあるが、それこそが理想とするインタビューである。

「会話=プロレス論」でいうと、自分から話すのが「攻撃」、相手の話を聞くのが「受け身」であり、これをバランスよく組み立てていくべきなのに、世の中には自分のことしか考えず一方的に話したがる人が多い。よくある「俺が攻撃しまくって、一番目立たないと嫌だ」という感情を捨て去り、ガンガン受け身を取りつつ、たまに効果的な攻撃を入れていく方が楽だし、会話も盛り上がるし、相手も喜んでくれる。

インタビューにも掴みとオチを

例えばコラムを書く場合、掴みとオチが重要なことはみんなわかっているはずなのに、インタビューでもそれが重要だとわかっている人が少なすぎるし、いきなり宣伝めいた話をされるとそこで読むのが嫌になる。結局、宣伝目的すぎるインタビューと、ファンクラブ会報みたいなインタビューが多すぎるのだ。

その人に興味のない人が読んでもその人のことが好きになれて、その人のマニアが読んでも「知らない話が出てきた!」と喜んでもらえるようなものを目指す。そのためには「これは何かが起こるんじゃないか」と思えるような掴みがまず必要だ。

余計な部分に踏み込むこと

インタビューする時はあくまでも友好的なスタンスを保ちつつ、それでいて余計な話をどれだけ突っ込めるかの闘いを続ける。インタビューは、相手との信頼関係がなければ成立しないが、信頼しすぎて慣れ合いになるのも良くないし、潰し合いになってもいけない。ゴールに向けてお互いに協力しながら進んでいく共同作業だけれど、いつ相手が裏切るかわからない緊張感もある。理想のインタビューとはそういうものではないか。

余計な部分に踏み込む可能性がないトークは予定調和すぎて正直しんどい。取材相手と仲良くしている感じしか伝わってこなくなるから、やっぱり相手に嫌われる覚悟で踏み込まないと駄目だし、踏み込んだことで観客が盛り上げれば相手もわかってくれるはずである。