4つの傾向
人はそれぞれ違うから、同じ習慣を身につけても、効果がある人とそうでない人が出てくる。そのため、自分の性質が習慣にどのような影響を及ぼすか、自分自身について知ることから始める必要がある。
習慣について理解する上で真っ先にすべき重要な問いかけは「人は期待にどのような反応を示すか?」である。新しい習慣を形成する時、人は自分に対して何らかの期待を設定する。だから、期待に対する反応の仕方を理解する必要がある。
期待には「外から課される期待」(締め切り、交通ルール等)と「自分で自分に課す期待」(ダイエット、新年の抱負等)の2種類がある。そして、人は次の4つに分類される。
①アップホルダー(約束を守る人)
外から課される期待と自分で課す期待の両方に進んで応えようとする。自主的に期待に応えようとするため、責任を果たす、約束を守る、締め切りを守るといったことでの苦労はほとんどない。
②クエスチョナー(疑問を持つ人)
あらゆる期待を疑問視し、自分で正当だと判断した期待にだけ応えようとする。クエスチョナーを動かすのは「正当な理由」だ。
③オブライジャー(義務を果たす人)
外からの期待には進んで応えるが、自分で課す期待にはうまく応えられない。良い習慣を維持するためには、「周囲の手本」という役割や外から課される責任が必要となる。
④レブル(抵抗する人)
外からの期待、自分で課す期待に関係なく、あらゆる期待に反発する。自分の心に正直であることと、自分で判断することに高い価値を置く。そして、「未開拓」という要素に引き寄せられる傾向にある。
「4つの傾向」において、かなりの割合の人がクエスチョナーかオブライジャーに分類される。レブルは非常に少なく、アップホルダーはさらに少ない。大人になるまでに、ほとんどの人は4つの内どれか1つの傾向に落ち着き、基本的なものの見方や振る舞いが形づくられる。
成功者の真似をしてもうまくいかない
傾向によって効果的な習慣のつくり方が変わり、他人の傾向を知ることで人間関係やビジネスも円滑になる。優秀な人が身につけている習慣は個々によって全く違うが、自らに適した習慣を熟知し、それを維持するために多大な努力をしていることは全員に共通している。
自分にとっても、自分以外の誰かにとっても、魔法の方程式というものは存在しない。誰かの習慣を真似したところで、たとえそれが一番優れた習慣であったとしても、創造性や生産性は高まらない。自分の性質を知り、自分にとって一番効果的な習慣はどれかを知る以外に道はない。