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2016/12/26更新

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

179分

7P

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生産性向上のための4つのアプローチ

生産性を上げる方法は、全部で4種類ある。

①改善による投入資源の削減
作業手順の変更、無駄な作業の排除、ITの活用など

②革新による投入資源の削減
新技術の導入やプロセスの再構築などのイノベーション

③改善による付加価値額の増加
顧客が評価する価値の追加、研修による付加価値の高い製品作りなど

④革新による付加価値額の増加
新素材の開発による付加価値額の向上など

日本では、製造現場における改善運動から生産性という概念が普及したため「生産性を上げる手段=改善的な手法によるコスト削減」という感覚が定着してしまっている。このため、企画部門や開発部門など「自由に発想することが重要な仕事に従事している」人達は、生産性の向上が自分達の仕事にも極めて重要であると長らく認識できないままになってしまった。

生産性の意識を持つことがイノベーションに繋がる

最初に必要となるのは「イノベーションのための時間的な余裕」である。生産性が軽視される組織では、社員は長時間の残業を強いられるなど定型的な作業に忙殺され、新しいアイデアや試みに投資する時間や資金、気持ちの余裕を十分に確保できない。

「通常のオペレーション業務の生産性を向上 → 余裕時間を生み出す → その時間をイノベーションのために投資する → イノベーションにより、さらに大幅な生産性向上につなげる」ためにも、まずは組織全体に生産性を重視した働き方を定着させることが必要となる。

時間的な余裕を生み出すことに加え、「何としてもイノベーションを起こすことが必要だ」というモチベーションを生み出すために、生産性の意識を持つことが大きな役割を果たす。そのためには、社員に「問題認識力=課題設定力」と「その問題を一気に解決したいという強い動機づけ」を持たせることが不可欠になる。

量から質の評価に変えること

会議の時間の短縮は、方法であって会議の生産性を上げるための方法ではない。大事なのは会議の時間(量)を短くすることではなく、会議の質を向上することである。残業時間の削減もまた、量の抑制だけでは不十分である。問題の本質は「残業を少なくすること」(量)ではなく、「仕事の生産性を上げること」(質)である。

社員の評価を仕事の成果の絶対値(量)だけで行うと、「徹夜をしてでも良い仕事をする」といった頑張り方を肯定してしまう。

「あの人は本当に優秀だ」と目される人が、長時間オフィスに滞在し、ものすごい量の仕事をこなしている人ではなく、どれだけ仕事が集中しても、明確な優先順位づけと迅速な意思決定、そして高いスキルによって、早く仕事を終わらせてしまう人のことを指す職場となるように、量から質への転換を促すことが大切である。