脳外科医とタイ寺院僧侶の対談本。脳と瞑想をテーマに、脳と瞑想のメカニズムについて科学的な知見から解説されています。
■瞑想は動物脳をリセットする
「依存症」には、脳の神経伝達物質である「ドーパミン」が関わっている。ドーパミンは「報酬系」と呼ばれる物資で、何かしらの欲求に対してそれが満たされた時、もしくは満たされるとわかった時に脳内から「快」の感覚を与えるものである。これを欲する回路ができてしまうと、その報酬に対する強い渇望が起こるが、刺激は繰り返されるうちに慣れてしまい、さらに強い刺激を求めてしまう。それが続くと「依存症」になってしまう。
人間の脳は、動物に近い、本能的で原始的な古い脳の上に、ハードディスクがどんどん上乗せされるように進化してきた。動物脳と人間脳の間にある自我が司令塔になって、問題を主体的に解決しようとする。それが人間ならではの脳の使い方である。瞑想のドーパミンは動物的な脳をコントロールする自我の部位を活性化する。瞑想をすることによって、動物脳主体の回路を一度「リセット」でき、自我が司令塔になる脳の使い方にシフトチェンジができる。
幸せに生きる鍵というのは、動物脳的な情動や衝動を、どう上手にコントロールしていくかということ。動物脳は自然に放っておいたらどんどん力を増していく。いろいろなやり方でこれをリセットしていかなくてはならない。
著者 プラユキ・ナラテボー
1962年生まれ。タイ・スカトー寺副住職 上智大学卒業後、タイのチュラロンコン大学大学院に留学し、農村開発におけるタイ僧侶の役割を研究。 1988年、瞑想指導者として有名なルアンポー・カムキアン師のもとで出家。以後、開発僧として、瞑想指導者として活動。近年は、日本でも講演や心を病んだ人たちの面談にも取り組む。
著者 篠浦伸禎1958年生まれ。都立駒込病院 脳神経外科部長 東京大学医学部卒業後、富士脳障害研究所、東京大学医学部附属病院、茨城県立中央病院、都立荏原病院、国立国際医療センターに脳神経外科医として勤務する。 1992年、東京大学医学部の医学博士を取得。同年、シンシナティ大学分子生物学部に留学。帰国後、国立国際医療センターなどで脳神経外科医として勤務。2000年より都立駒込病院脳神経外科医長、2009年より同病院脳神経外科部長。脳の覚醒下手術ではトップクラスの実績を誇る。
帯 メンタリスト DAIGO |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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第一部 第一章 サマタ・ヴィパッサナー瞑想の実践 | p.14 | 10分 | |
第一部 第二章 覚醒下手術概説 | p.35 | 7分 | |
第一部 第三章 脳のタイプチェック | p.50 | 4分 | |
第二部 第一章 瞑想法(サティとサマーディ) | p.60 | 24分 | |
第二部 第二章 脳と瞑想 | p.109 | 37分 | |
第二部 第三章 自我の科学 | p.183 | 30分 | |
第二部 第四章 左脳は戦争が好き | p.243 | 11分 | |
第二部 第五章 苦しみから抜ける | p.266 | 16分 | |
第二部 第六章 終わりに | p.298 | 3分 |
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