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2016/12/14更新

人類は絶滅を逃れられるのか―――知の最前線が解き明かす「明日の世界」

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進歩は新たなリスクを生む(マルコム・グラッドウェル)

テクノロジーをはじめ様々な領域が進歩すると、そのマイナスの側面と破壊的な性質も飛躍的に進歩する。だからある領域で大きな飛躍があるたびに、例えば人類が自らを破滅させる能力も飛躍的に高まる。未来が今より良くなるか悪くなるかはわからない。人類の99.9%の暮らしは昔より良くなったかもしれないが、残りの0.1%によって、恐ろしく惨めな状況に突き落とされる可能性がある。

どんなに進歩しても「満足」は得られない(アラン・ド・ボトン)

科学は私たちを驚嘆させ、大きな変化を約束してくれる。にもかかわらず、厄介な問題のために、私たちは充足感や適度な幸福感を得られない。経済発展の悲劇の1つは、人は物質的に満たされれば、幸せになれるという信念に基づいていたことである。しかし、どんなに金持ちになっても、金銭的な不満はなくならない。自分を他人と比べるのは社会的な病であり、世界を億万長者だらけにしても、経済的な不運、不幸、悲嘆から解放されることはない。

私たちは、理想の地に到達することは決してできない。なぜなら人間には脳があるからである。人間の脳は不完全で、失敗をする。攻撃的で、やるべきことを忘れ、役に立たない衝動をたくさん持っている。人間は不完全な特に悪い衝動と自己中心的な性質を補うために、文明を作った。しかし文明を持ってしても、人間は自己に内在する欠陥を全て取り除くことはできない。

極貧人口は世界人口の10%まで減った(マット・リドレー)

人間の生活水準は、この50年で著しく上昇してきた。今や極貧人口は世界全体の10%に過ぎない。総合的に見て、人々は昔よりも豊かになり、健康になり、ハッピーになり、賢くなり、清潔になり、ある意味でより自由になり、もっと平和で、もっと平等になっている。貧困国の人々が豊かになるスピードは、富裕国の人々が豊かになるスピードを上回っているので、世界は平等になりつつある。

現在、人間が世界をよりよくする可能性は、50年前よりも高くなっている。科学技術を研究する人の数と、彼らが自由に使えるテクノロジーの量、そして彼らが得てきた知識の量を考えると、人類は50年前よりも問題解決能力が高まったと考えるべきである。

あらゆるデータで世界は改善されている(スティーブン・ピンカー)

データを見れば、私たちの暮らしを測る指標はすべて上向いている。寿命は伸び、病気にかかることは減り、より金持ちになり、民主主義国に住む人の割合は高まった。平和な場所で暮らしている人が増えて、人々はより賢く、教育水準も高まった。このような状況を生み出したプロセスは、ほぼ間違いなくこれからも続く。