型にはまった組織や個人を創造的に変えるためのメソッド。新たな仕事の創造性やコミュニケーションを生み出し、機会を生み出すための方法が紹介されています。
■大人になると成長が止まる理由
大人になっても、新たな課題に直面し、未経験のことをするよう要求され、今の能力以上に成長する必要に迫られた時には、演じることで乗り切ることができる。
人が成長や発達を止めてしまうのは、他人よりも「頭一つ分、背が高くなる」よう促す演技の場に参加しなくなるためである。大人から、既にやり方を知っている行動だけを期待されるような環境では、自分以外の人間を演じるリスクを取らなくなる。その代わりに、慣れたパターンを繰り返し、既に学習した居心地のいい役割を受動的に演じることになる。
■演技することで能力を伸ばすことができる
人は大人になっても成長し、能力を伸ばすことが可能である。つまり、子供の頃にやっていた創造的な学習を再開し、発達過程の経験と能力を取り戻せばいい。そうすれば、新しいやり方で演技をし、新しいことを試せるようになり、人々や組織の足を引っ張っている使い古した台本から抜け出すことができる。訓練すれば、人は自分の演技を変えられる能力を持っている。これをパフォーマンス・ブレークスルー『壁を破る力』と呼ぶ。
人は自分が誰で、どこにいて、誰と過ごしているのかに基づいて、常に演技を選択している。次々に選択する中で、キャラクターを自然に、無意識のうちに変えている。こうした演技の多くは、選択しているという感覚が全く伴わない。しかし、それでもやはり演技である。
ほとんどの場合、人の成長や発達が止まる原因は、その人の能力や欲求が欠けているからでも、適応性や柔軟性の限界に達したからでもない。変化や成長を可能にするような方法で演技をするのを、やめてしまうことが問題なのだ。大人になった時に演技したり模倣したりしなくなると、ほぼ間違いなく、発達がそこで止まってしまう。しかし、大人になってからでも、演じたり、模倣したり、芝居をしたりできる子供の世界に戻れば、生涯にわたって学習と発達を続ける条件が整う。未知の自分を演じ、演じた通りの自分になれる。
著者 キャシー サリット
パフォーマンス・オブ・ア・ライフタイム CEO リーダー養成プログラムや企業の組織改革サポートを手掛ける。年間200以上のワークショップを催し、クライアントにはナイキやコカ・コーラ、シャネル、バンク・オブ・アメリカなど、超一流企業が名を連ねる。 ダニエル・ピンク氏がその著書『人を動かす、新たな3原則』でそのメソッドを紹介するほか、「ウォール・ストリート・ジャーナル」「ファースト・カンパニー」「ワイアード」でも取り上げられている。 いまや人気の講演者、エグゼクティブ・コーチである。また、歌手、女優、即興劇チームの一員としても活動し、教育設計家、社会起業家としても幅広く活躍している。
帯 作家 ダニエル・ピンク |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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第1章 今の自分となりたい自分 | p.20 | 9分 | |
第2章 世界は舞台 | p.34 | 12分 | |
第3章 成長を心に決める | p.55 | 15分 | |
第4章 どこでもアンサンブルをつくる | p.78 | 15分 | |
第5章 耳を傾けて画期的な会話をする | p.101 | 19分 | |
第6章 ゴミから創造する | p.131 | 10分 | |
第7章 人生を即興で演じる | p.146 | 26分 | |
第8章 人間はみな語り手 | p.186 | 14分 | |
第9章 難しい場面での会話 | p.208 | 15分 | |
第10章 売り込み、人脈づくり、トークの技術 | p.232 | 12分 | |
第11章 存在感を発揮する演技 | p.250 | 11分 | |
第12章 演出家として指導する | p.267 | 14分 | |
エピローグ パフォーマンス・エクササイズ・マニュアル | p.289 | 3分 |