『永遠の0』『海賊とよばれた男』などの作品で知られるベストセラー作家が、面白い話をするための技術を紹介している一冊。雑談をする時の心構えが書かれています。
■話も起承転結が基本
話すというのは、書くよりもはるかに難しい技術である。筋道のある長い話をする場合、初めから頭の中に構成ができていなければ無理である。あるいは話しながら構成を作っていく能力が必要である。起承転結を考えて、なおかつ盛り上げにも留意して、最後のオチも決めるというのを即興でやるのがトークである。
人が注目して聞く話を5分以上するというのは、話術に加えて構成能力が不可欠である。構成力は、その話を1つの「物語」として組み立てる力である。「起承転結」は小説や映画の基本だが、話も同じである。面白い雑談も基本的にはこの構成になっている。
■一番大切なことは「人を楽しませたい」という気持ち
一番大切なことは、テクニックではなく「人を楽しませたい」という気持ちである。その気持ちがなければ、面白い話などできない。話し好きの人の中には、自分の話しかしない人もいる。そういう人は、「人を楽しませたい」という気持ちはほとんどない。ただ、自分の話を人に聞いてもらいたいだけである。当然、そういう話は聞いていて全然面白くない。
「人を楽しませたい」という気持ちがあれば、まず話題の選択から違う。そして無駄な部分をなくして簡潔にしようと努力する。また話の途中で相手の反応を常に伺い、臨機応変に対応する。
■面白さの7割以上が話術
「面白い話」をするには知識が大事だが、それは必要条件であって十分条件ではない。雑談力というのは豊富な知識があれば可能だと思っているとすれば、それは大いなる錯覚である。
雑談力というのは、7割以上が話術である。情報部分は3割以下と思っていい。情報部分は核だが、話の上手い人はこれを巧みな話術で聞く人を引き付ける話にしてしまう。
話し方が上手くなるコツは、とにかく実践あるのみ。「間」とか「抑揚」とか「リズム」とかは、何度も喋っているうちにわかってくる。要するに、人が面白がったところをさらに膨らませ、退屈したところを短くしていけば、次に話す時には、もっと面白い話になっていく。
■ストーリーを語る
人は物語になっている話を聞きたいのである。ストーリーがない話は、そのこと自体によほどの関心がない限り、聞いていてしんどいのである。いかに重要な知識であっても、そこにストーリーがなければ、何の興味も湧かない。逆に言えば、そこにストーリーを付け加えるだけで、一気に「面白い話」に変わることもある。
著者 百田 尚樹
1956年生まれ。作家 人気番組「探偵!ナイトスクープ」のメイン構成作家となる。2006年『永遠の0』で小説家デビュー。2009年講談社で文庫化され、累計450万部を突破。2013年映画化される。同年『海賊とよばれた男』で本屋大賞受賞
ビジネスブックマラソン 土井 英司 |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
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まえがき | p.3 | 3分 | |
第1章 人を引き付ける話をする技術 | p.19 | 40分 | |
第2章 その気になれば、誰でも雑談上手になれる | p.95 | 20分 | |
第3章 こんな話に人は夢中になる | p.133 | 42分 | |
第4章 親友とする真面目な話 | p.213 | 10分 |