組織が正しい意思決定をするにはどのようにすれば良いのか。集団で熟議するだけでは、必ずしも正しい判断ができるとは限らないと解説し、効果的な集合知の導き方を紹介している一冊。
■集団で議論しても正しい判断ができるとは限らない
集団は個人の間違いを正しているのか。答えはノーである。集団で良い決定を出すのは難しい。集団で議論しても誤ってしまう理由は、集団のメンバーにかかる圧力に2種類あるからだ。
①情報シグナル
他人が公表した情報を尊重するあまり自分が持っている情報を発表しなくなる傾向
②評判プレッシャー
自分に不利になることを避けるために黙ってしまう傾向
集団の失敗には明らかな理由がある。メンバーの間違いを正すどころか、それを増幅してしまう集団もある。個人の偏った行動が集団内で増殖し、多くの場合状況は悪化する。集団の個々のメンバーは間違いを犯すかもしれないとしても集団全体としてその間違いを正すことができる、と考えるのは大きな誤りである。
賢い集団やリーダーはこのリスクを常に念頭に、人々の意欲に変化を促そうとする。賢いリーダーは心配性で、自らは意見を言わず、地位の低いメンバーも含めて集団のメンバーに語らせて、情報を引き出そうとする。メンバーがある役割を演じるように仕向けると、情報の取りこぼしを避けられる。賢いリーダーは反対意見の表明を咎めるのではなく、奨励する雰囲気を作り出す。
著者 キャス・サンスティーン
1954年生まれ。ハーバード大学ロースクール教授 専門は憲法、行政法、環境法。オバマ政権第1期では、 米国大統領府の情報・規制問題室長を務めた。
著者 リード・ヘイスティシカゴ大学ビジネススクール教授 専門は、行動心理学、集団における意思決定論。
帯2 評論家 荻上 チキ |
帯 元米財務長官 ローレンス・サマーズ |
章名 | 開始 | 目安 | 重要度 |
---|---|---|---|
はじめに 集団思考を超えて | p.3 | 15分 | |
Chapter 1 高邁な理想が大失敗に | p.26 | 17分 | |
Chapter 2 増幅される間違い | p.52 | 12分 | |
Chapter 3 付和雷同――カスケード効果 | p.70 | 16分 | |
Chapter 4 集団は極に走る | p.94 | 9分 | |
Chapter 5 情報のシェアの落とし穴 | p.107 | 9分 | |
Chapter 6 失敗を減らすための八つの方法 | p.122 | 18分 | |
Chapter 7 改善のための二つのフレームワーク――識別と選択 | p.149 | 15分 | |
Chapter 8 群衆は賢いか | p.172 | 11分 | |
Chapter 9 専門家の正しい使い方 | p.189 | 7分 | |
Chapter 10 トーナメント方式の活用法 | p.199 | 14分 | |
Chapter 11 予測市場を活かす | p.220 | 11分 | |
Chapter 12 みんなに聞いてみる | p.236 | 4分 | |
Chapter 13 ボールは一つ | p.242 | 10分 | |
おわりに 未来は明るい! | p.257 | 1分 |
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