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サービスデザインのキー概念

サービスデザインには、核となるキー概念が3つある。

①デザイン思考
デザイン思考では、問題の完璧な解決策は存在するが、それはまだ考案されていないと仮定する。そして、創造、テスト、リデザインを素早く繰り返して、解決策を市場の現実にマッチさせていく。

デザイン思考のもう1つの出発点は、人間とその体験への共感だ。顧客と良好な関係を築くことが課題の場合、強力な武器となる。

②定量顧客調査
定量調査の結果を定性的な方法で検討することが大切だ。そうやって、多くの顧客に当てはまる予測パターンに、極めて主観的な人間理解を組み合わせることで、顧客のニーズやウォンツを満たすだけでなく、彼らを喜ばせ、刺激し、活気づけるサービスを生み出せるようになる。

市場調査は、多数の人間を対象に統計上の「真実」を明らかにする。一方、少数の人間を対象に行う定性調査からは重要なインサイトを手に入れる。この2つを組み合わせて使う。

③視覚化
視覚化は、インサイトを結果につなげるための強力な手段になる。これはシステムやプロセス、顧客の体験への理解を深めたい時に有効だ。視覚化を使えば、複雑な状況を図式化し、状況を構成する要素や要素同士のつながりを把握できる。どこに注力すべきかという共通認識を確立し、複雑な情報を整理できる。

カスタマージャーニーを描く

顧客のニーズを満たせなくて困っているのなら、自らが提供している体験を分析し、それがいつ、どんな形で価値を加えているかを理解し、体験の改善点を特定しなくてはならない。その手助けになるのが、サービスプリントだ。これは、サービスを構成する要素の一切を書き込んだ、サービスの概要図だ。

サービスプリントを作るには、まず、カスタマージャーニーを描く必要がある。サービスを通じて顧客と企業との結びつきが生まれていく過程を、顧客の視点から顧客エンゲージメントの以前、開始、途中、以後という4段階で描き出す。この道のりがわかると、顧客と組織とのインタラクションの隙間や不備が生じている地点が浮かび上がってくる。

①以前:顧客はどこからやって来るのか
サービスと結びつく前に、顧客はどんな体験をしてきたのか。そしてその過程で、どんな期待や知識、偏見を育んできたのか。

②開始:関係の始まり
今、ここで提供していると思っている価値と、実際に提供している価値がずれていないかを確認する。

③途中:日常と非日常の出来事
顧客が得て当然と思っている想定内の体験と予定外の事態が生じた時に顧客が期待する想定外の体験を確認する。

④以後:顧客は次にどうするか
過去の顧客は、将来の見込み客でもある。